電験三種 H30年 法規 問8 問題と解説

 問 題     

次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく電動機の過負荷保護装置の施設に関する記述である。

屋内に施設する電動機には、電動機が焼損するおそれがある過電流を生じた場合に( ア )これを阻止し、又はこれを警報する装置を設けること。ただし、次のいずれかに該当する場合はこの限りでない。

  1. 電動機を運転中、常時、( イ )が監視できる位置に施設する場合
  2. 電動機の構造上又は負荷の性質上、その電動機の巻線に当該電動機を焼損する過電流を生じるおそれがない場合
  3. 電動機が単相のものであって、その電源側電路に施設する配線用遮断器の定格電流が( ウ )A以下の場合
  4. 電動機の出力が( エ )kW以下の場合

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

    (ア)    (イ)   (ウ) (エ)

  1. 自動的に  取扱者   20  0.2
  2. 遅滞なく  取扱者   20  2
  3. 自動的に  取扱者   30  0.2
  4. 遅滞なく  電気係員  30  2
  5. 自動的に  電気係員  30  0.2

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

問題文に該当するのは、「電気設備技術基準の解釈」第153条(電動機の過負荷保護装置の施設)です。条文は以下の通りとなります。

屋内に施設する電動機には、電動機が焼損するおそれがある過電流を生じた場合に自動的にこれを阻止し、又はこれを警報する装置を設けること。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合はこの限りでない。

  1. 電動機を運転中、常時、取扱者が監視できる位置に施設する場合
  2. 電動機の構造上又は負荷の性質上、その電動機の巻線に当該電動機を焼損する過電流を生じるおそれがない場合
  3. 電動機が単相のものであって、その電源側電路に施設する過電流遮断器の定格電流が15A(配線用遮断器にあっては、20A)以下の場合
  4. 電動機の出力が0.2kW以下の場合

( ア )には「自動的に」か「遅滞なく」が入りますが、「遅滞なく」というのは報告や届出などをする際に使われる言葉です。イメージ的には「なるべく早く」と同じような意味合いの言葉となります。

今回は過電流が生じた際の話なので、そんな悠長なことを言っている場合ではなく、人的ではなく機械的な即時対応が求められます。よって、( ア )には「自動的に」が入ります。

( イ )の選択肢にある「電気係員」は、馴染みのない言葉かもしれません。…というのも、この用語は「電気設備技術基準」やその関連文書に出てこない言葉だからです。

会社によってはこのような役職があるかもしれませんが、これは公的な役割ではないので、( イ )には「取扱者」を選ぶのが適切です。「取扱者」という言葉は「電気設備技術基準」や関連文書の条文にたびたび登場します。

( ウ )はやや難しいです。上記で示した条文を読むと、過電流遮断器の定格電流が15A以下というのが基準になっていますが、配線用遮断器の場合だけは20A以下に基準が変わります。問題文のcの文章は配線用遮断器の話なので、( ウ )には「20」が入ります。

( エ )は問4の(3)でも解説した通り、0.2kW(200W)以下であれば過電流遮断器を用いる必要はありません。よって、( エ )には「0.2」が入ります。

以上から、正解は(1)となります。

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