電験三種 H29年 理論 問15 問題と解説

 問 題     

図は未知のインピーダンス[Ω]を測定するための交流ブリッジである。電源の電圧を[V]、角周波数をω[rad/s]とする。ただしω、静電容量C1[F]、抵抗R1[Ω]、R2[Ω]、R3[Ω]は零でないとする。次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 交流検出器Dによる検出電圧が零となる平衡条件を、R1、R2、R3、ω及びC1を用いて表すと、

となる。

上式の空白に入る式として適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(b) としたとき、この交流ブリッジで測定できるR[Ω]とX[Ω]の満たす条件として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. R≧0、X≦0
  2. R>0、X<0
  3. R=0、X>0
  4. R>0、X>0
  5. R=0、X≦0

 

 

 

 

 

正解 (a)-(3), (b)-(4)

 解 説    

(a)

ブリッジ回路の真ん中(交流検出器Dのところ)に電流が流れないことを「平衡状態にある」といいますが、この平衡条件下では、4つのインピーダンスのうち、2組の対角線上のインピーダンスの積が等しくなります。

よって、今回の場合は「R1とC1の合成インピーダンス」との積、R2とR3の積が等しくなります。このことは(a)の問題文にすでにほとんど載っていて、空欄の部分には「R1とC1の合成インピーダンス」が入ります。

つまり、ここには並列に並んだR1とC1の合成インピーダンスを求めればよいため、その計算式は以下のようになります。

よって、(3)が正解です。

(b)

(b)では、(a)で与えられた式と計算結果を利用します。(a)で求めた答えを式に代入して整理すると、以下のように計算を進めることができます(式の整理の仕方は何パターンもあります。以下はひとつの例になりますが、ほかのまとめ方でも構いません)。

上の等式で、左辺と右辺の実部、虚部がそれぞれ等しくなるので、以下の式が成り立ちます。

ここで、R1、R2、R3、C1、ωは全て正の値なので、上式より、RとXはどちらも正の値を取ります。

よって、(4)が正解となります。

コメント