電験三種 H29年 理論 問10 問題と解説

 問 題     

図のように、電圧E[V]の直流電源に、開いた状態のスイッチS、R1[Ω]の抵抗、R2[Ω]の抵抗及び電流が0Aのコイル(インダクタンスL[H])を接続した回路がある。次の文章は、この回路に関する記述である。

1スイッチSを閉じた瞬間(時刻t=0s)にR1[Ω]の抵抗に流れる電流は、( ア )[A]となる。2スイッチSを閉じて回路が定常状態とみなせるとき、R1[Ω]の抵抗に流れる電流は、( イ )[A]となる。

上記の記述中の空白箇所(ア)及び(イ)に当てはまる式の組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

一般論として、抵抗、コイル、コンデンサのうち、抵抗はスイッチを入れた直後でも定常状態でも常に同じような働きをしますが、コイルとコンデンサはそうではありません。

コイルについて、電流が流れ始めた瞬間のコイルの両端の電位差は大きく、電流は全然流れません。その後、徐々に電位差が小さくなり(=電流が大きくなっていき)、充分な時間が経ったあとのコイルは、その両端の電位差が0になります。

よって、コイルに関しては、電流が流れた瞬間は「開放」で、定常状態では「短絡」しているものと見なすことができます。

コンデンサはコイルとは対称的で、回路をつないだ直後は電流が流れてコンデンサに電荷が溜まっていきますが、流れる電流は徐々に小さくなっていき、定常状態に達したあとは全く流れなくなります。

よって、コンデンサに関しては、電流が流れた瞬間は「短絡」で、定常状態では「開放」しているものと見なすことができます。

以上を踏まえて問題文を見てみると、( ア )を含む文章は、コイルの部分が開放しているものと考えてよいので、以下のような回路図と等価になります。

よって、( ア )は次のように計算できます。

また、( イ )を含む文章は、コイルの部分が短絡しているものと考えてよいので、今度はR2に電流が全く流れません。よって、以下のような回路図と等価になるので、( イ )は以下のように計算することができます。

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