電験三種 H29年 理論 問1 問題と解説

 問 題     

電界の状態を仮想的な線で表したものを電気力線という。この電気力線に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 同じ向きの電気力線同士は反発し合う。
  2. 電気力線は負の電荷から出て、正の電荷へ入る。
  3. 電気力線は途中で分岐したり、他の電気力線と交差したりしない。
  4. 任意の点における電気力線の密度は、その点の電界の強さを表す。
  5. 任意の点における電界の向きは、電気力線の接線の向きと一致する。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

(1)について、電気の+と-(正電荷と負電荷)は、磁石のNとSのような関係にあります。よって、正電荷同士または負電荷同士の電気力線は反発しあい(斥力)、正電荷と負電荷の組み合わせであれば引き合います(引力)。つまり、(1)の記述は正しいです。

(2)で、直流電源の電気回路を電流が流れる際、電流の向きは電池の+極から出て、回路をぐるっと廻って-極へと入っていきます。電流は電気力線に沿って流れるため、電気力線は正の電荷から出て負の電荷へ入ることになります。よって、(2)の記述は誤りで、これは反対です。

(3)に関して、(1)で電気と磁石は似たようなものだと紹介しましたが、電気における電気力線は、磁石における磁力線に対応します。方位磁針の磁力線は下図のような感じですが、同様に、正電荷と負電荷が作る電気力線は、さらに下の図のようになります。

上図からわかるように、電気力線は途中で分岐したり、他の電気力線と交差したりしないので、(3)は正しい記述です。

ちなみに、同じ種類の電荷同士だと、下図のような電気力線になります。この場合でもやはり、電気力線は途中で分岐したり、他の電気力線と交差したりしません(下図は正電荷同士ですが、負電荷同士だと、形は同じで向きが反対になります)。

(4)も(3)と同様、磁力線に置き換えて考えるとわかりやすいと思います。磁力線の密度が磁界の強さを表すのと同じく、電気力線の密度が電界の強さを表しています。よって、これも正しい記述です。

(5)も正しい記述で、電界の向きは電気力線の接線の向きとなります。知識として覚えておきたいところです。

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