電験三種 H29年 法規 問7 問題と解説

 問 題     

次の文章は「電気設備技術基準の解釈」における低圧幹線の施設に関する記述の一部である。

低圧幹線の電源側電路には、当該低圧幹練を保護する過電流遮断器を施設すること。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

  1. 低圧幹線の許容電流が、当該低圧幹線の電源側に接続する他の低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の55%以上である場合
  2. 過電流遮断器に直接接続する低圧幹線又は上記aに掲げる低圧幹線に接続する長さ( ア )m以下の低圧幹線であって、当該低圧幹線の許容電流が、当該低圧幹線の電源側に接続する他の低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の35%以上である場合
  3. 過電流遮断器に直接接続する低圧幹線又は上記a若しくは上記bに掲げる低圧幹線に接続する長さ( イ )m以下の低圧幹線であって、当該低圧幹線の負荷側に他の低圧幹線を接続しない場合
  4. 低圧幹線に電気を供給する電源が( ウ )のみであって、当該低圧幹線の許容電流が、当該低圧幹線を通過する( エ )電流以上である場合

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  (ア)  (イ)  (ウ)    (エ)

  1. 10  5  太陽電池  最大短絡
  2. 8    5  太陽電池  定格出力
  3. 10  5  燃料電池  定格出力
  4. 8    3  太陽電池  最大短絡
  5. 8    3  燃料電池  定格出力

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

この問題は知識問題ですが、唯一( エ )だけは、少し考えれば簡単に答えがわかります。

( エ )には「最大短絡」か「定格出力」が入りますが、低圧幹線の許容電流が定格出力電流以上であるのは当たり前です。

もし許容電流が定格出力電流をちょっと上回る程度であるなら、普通に運転していても危険水域の一歩手前という状況なので、ましてこの問題の趣旨である「保護装置を施設しないで済む条件」に該当するはずがありません。

最も電流が大きくなる最大短絡電流にも低圧幹線が耐えられるなら保護装置は必要ない、とするのが正しいので、( エ )には「最大短絡」が入ります。

この問題は「電気設備技術基準の解釈」第148条からの出題ですが、( エ )以外の( ア )、( イ )、( ウ )については、条文の内容を知っていないと推測で正解するのは難しいかもしれません。

まず、bの文章の( ア )には「8」が入ります。

この程度(8m以下)の長さであれば短絡事故が起こる確率は低く、もし短絡事故が起きたとしても、電線の許容電流が過電流遮断器の定格電流の35%以上ある場合には、この過電流遮断器で保護が可能であることから、別途この低圧幹線のための過電流遮断器を施設する必要はありません。

続いて、cの文章の( イ )には「3」が入ります。

分岐幹線の電線の長さが短ければ短いほど、短絡事故は起こりにくくなりますが、その可能性を無視してよいという基準が3m以下ということになっています。

また、dの文章の( ウ )には「太陽電池」が入ります。

太陽電池は最大短絡電流が小さいので(大体、定格電流の1.1~1.2倍くらい)、最大短絡電流に耐える幹線であれば、過電流遮断器は不要となります。

( エ )については最初に解説したように「最大短絡」が正しいので、(4)が正解となります。

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