電験三種 H28年 機械 問13 問題と解説

 問 題     

次の文章は、フィードバック制御における三つの基本的な制御動作に関する記述である。

目標値と制御量の差である偏差に( ア )して操作量を変化させる制御動作を( ア )動作という。この動作の場合、制御動作が働いて目標値と制御量の偏差が小さくなると操作量も小さくなるため、制御量を目標値に完全に一致させることができず、( イ )が生じる欠点がある。

一方、偏差の( ウ )値に応じて操作量を変化させる制御動作を( ウ )動作という。この動作は偏差の起こり始めに大きな操作量を与える動作をするので、偏差を早く減衰させる効果があるが、制御のタイミング(位相)によっては偏差を増幅し不安定になることがある。

また、偏差の( エ )値に応じて操作量を変化させる制御動作を( エ )動作という。この動作は偏差が零になるまで制御動作が行われるので、( イ )を無くすことができる。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

   (ア)   (イ)   (ウ)  (エ)

  1. 積分  目標偏差  微分  比例
  2. 比例  定常偏差  微分  積分
  3. 微分  目標偏差  積分  比例
  4. 比例  定常偏差  積分  微分
  5. 微分  定常偏差  比例  積分

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

問題文の最初に「フィードバック制御における三つの基本的な制御動作」とありますが、これはいわゆるPID制御のことです。PID制御とは、「比例の(Proportional)」、「積分の(Integral)」、「微分の(Differential)」という3つの制御を組み合わせた制御法を指す言葉です。

最も基本的な制御は、「P動作(比例動作)」です。これは、目標値と制御値(現在値)の偏差に比例した操作量を出力する制御法です。P動作(比例動作)によって、制御値を目標値にざっくりと近づけることができますが、厳密に近づけるのは苦手で、定常偏差(オフセットともいいます)が生じてしまいます。

よって、( ア )には「比例」が、( イ )には「定常偏差」が入ります。

また、この定常偏差(オフセット)をなくすために用いるのが、「I動作(積分動作)」です。これは偏差の積分値に応じて操作量を出力する制御法で、上記の通り定常偏差(オフセット)をなくすのが主な目的なので、P動作とセットで使います(P動作は単独で使われることもありますが、I動作単独というのはありません)。

P動作とI動作をセットで使うとPI動作と呼ばれますが、これだと目標値に到達する(=定常状態)までに結構な時間が掛かることがあります。

よって、( エ )に入るのが「積分」となります。

また、上記のように時間が掛かることを避けたいときに有効なのが、「D動作(微分動作)」です。これは主にP動作・I動作と合わせて、PID動作として用いられます。

これは偏差の微分値に応じて操作量を変える方法ですが、目標値と制御値(現在値)との乖離が大きい場合には、操作量を大きく変えて、短時間のうちに目標値に近づけることができます。そうして目標値に近づいた上で、I動作によって定常偏差(オフセット)をなくせば目標値とぴったり一致させることができます。

よって、( ウ )には「微分」が入ります。

以上から、選択肢(2)が正解となります。

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