電験三種 H28年 機械 問12 問題と解説

 問 題     

電池に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 充電によって繰り返し使える電池は二次電池と呼ばれている。
  2. 電池の充放電時に起こる化学反応において、イオンは電解液の中を移動し、電子は外部回路を移動する。
  3. 電池の放電時には正極では還元反応が、負極では酸化反応が起こっている。
  4. 出力インピーダンスの大きな電池ほど大きな電流を出力できる。
  5. 電池の正極と負極の物質のイオン化傾向の差が大きいほど開放電圧が高い。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

(1)は正しい記述です。化学電池には一次電池と二次電池があり、アルカリ電池やマンガン電池のような使い捨ての電池は一次電池、鉛蓄電池のように充電して繰り返し使えるものは二次電池と呼ばれています。

(2)と(5)はいずれも正しい記述です。電解液の中に種類の異なる金属板を2枚差し込み、その2枚の金属板を導線でつなぐと起電力が発生します。これが化学電池の仕組みです。このとき、イオンは電解液の中を移動し、電子は導線(外部回路)を通るので、(2)の説明の通りです。

また、2枚の金属板(正極と負極)として使われる金属のイオン化傾向の差によって起電力が変わってくるので、(5)も正しいです。裏を返すと、正極と負極に同じ金属を使っても、イオン化傾向に差が出ないので、電流が流れず起電力も生じず、電池として成り立ちません。

(3)も正しい記述です。たとえば鉛蓄電池の放電では、次のような化学反応式を書くことができます。

鉛蓄電池に限らず、どのような化学電池においても、(3)の記述は成り立ちます。

(4)について、電池は起電力と内部抵抗から成ります。出力インピーダンスというのが聞きなじみがないかもしれませんが、これはつまり、電池の内部抵抗のことです。起電力の大きさが変わらないとしたら、内部抵抗が大きければその分、流れる電流は小さくなります。

よって、(4)の「大きな電流を出力できる」の部分が誤りです。

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