電験三種 H28年 機械 問10 問題と解説

 問 題     

次の文章は、太陽光発電システムに関する記述である。

図1は交流系統に連系された太陽光発電システムである。太陽電池アレイはインバータと系統連系用保護装置とが一体になった( ア )を介して交流系統に接続されている。

太陽電池アレイは、複数の太陽電池セルを直列又は直並列に接続して構成される太陽電池モジュールをさらに直並列に接続したものである。太陽電池セルはp形半導体とn形半導体とを接合したpn接合ダイオードであり、照射される太陽光エネルギーを( イ )によって電気エネルギーに変換する。

また、太陽電池セルの簡易等価回路は電流源と非線形の電流・電圧特性をもつ一般的なダイオードを組み合わせて図2のように表される。

太陽電池セルに負荷を接続し、セルに照射される太陽光の量を一定に保ったまま、負荷を変化させたときに得られる出力電流・出力電圧特性は図3の( ウ )のようになる。このとき負荷への出力電力・出力電圧特性は図4の( エ )のようになる。

セルに照射される太陽光の量が変化すると、最大電力も、最大電力となるときの出力電圧も変化する。このため、( ア )には太陽電池アレイから常に最大の電力を取り出すような制御を行うものがある。この制御は( オ )制御と呼ばれている。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

      (ア)        (イ)   (ウ) (エ) (オ)

  1. パワーコンディショナ 光起電力効果 (b) (a) MPPT
  2. ガバナ        光起電力効果 (b) (b) PWM
  3. パワーコンディショナ 光起電力効果 (a) (b) MPPT
  4. ガバナ        光導電効果  (b) (a) PWM
  5. パワーコンディショナ 光導電効果  (a) (b) PWM

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

太陽光発電システムは、「太陽電池」と「パワーコンディショナ」から構成されます。太陽電池は問題の図1のような構造をしていて、パワーコンディショナは下図のような構造となっています。

太陽電池はその時々の日射量や温度などの条件によって得ることのできる電圧が変動しますが、それを一定の直流電圧に変換するのが、上図左側の昇圧チョッパです。また、そうして一定になった直流電圧を商用周波数の交流電圧に変換しているのが、上図右側のPWMインバータです。

よって、( ア )には「パワーコンディショナ」が入ります。

( イ )について、pn接合をもつ半導体を用いた太陽電池では、そのpn接合部に光を照射すると、電子と正孔が発生し、それらがpn接合部で分けられて電子はn形、正孔はp形のそれぞれの電極に集まります。このような電子と正孔との偏りによって起電力が生じますが、この現象を「光起電力効果」といいます。

よって、( イ )には「光起電力効果」が入ります。

( ウ )と( エ )については、( エ )が太陽光発電システムの特性として最重要なので、まずこちらを押さえておきたいです。

結論からいうと、( エ )には図4の(a)が対応します。電圧を高くすれば、ある程度のところまではそれに応じて電力が大きくなりますが、ある一定のピークを超えると、そこから急激に電力が取れなくなります。

この特性曲線を知識として覚えておけば、そこから( ウ )について考えるのは簡単です。図4の(a)でピークより手前のところでは電圧と電力が比例しているので、電流は一定であると考えることができます。よって、( ウ )には図3の(b)が入ると判断できます。

最後の( オ )について、選択肢には「MPPT」と「PWM」がありますが、PWM(パルス幅変調)は上記の通りパワーコンディショナの一部として、直流電圧を商用周波数の交流電圧に変換するために使われているので、( オ )には不適です。

ということで、もうひとつのMPPTが正解となりますが、これはMaximum Power Point Trackingの略で、訳すと最大電力点追従制御となります。役割は( オ )の直前の文章の通りです。

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