問 題
各種変圧器に関する記述として、誤っているものを次の(1)～(5)のうちから一つ選べ。
- 単巻変圧器は、一次巻線と二次巻線とが一部分共通になっている。そのため、一次巻線と二次巻線との間が絶縁されていない。変圧器自身の自己容量は、負荷に供給する負荷容量に比べて小さい。
- 三巻線変圧器は、一つの変圧器に三組の巻線を設ける。これを3台用いて三相Y-Y結線を行う場合、一組目の巻線をY結線の一次、二組目の巻線をY結線の二次、三組目の巻線をΔ結線の第3調波回路とする。
- 磁気漏れ変圧器は、磁路の一部にギャップがある鉄心に、一次巻線及び二次巻線を巻く。負荷のインピーダンスが変化しても、変圧器内の漏れ磁束が変化することで、負荷電圧を一定に保つ作用がある。
- 計器用変成器には、変流器(CT)と計器用変圧器(VT)がある。これらを用いると、大電流又は高電圧の測定において、例えば最大目盛りが5A、150Vという通常の電流計又は電圧計を用いることができる。
- 変流器(CT)では、電流計が二次側の閉回路を構成し、そこに流れる電流が一次側に流れる被測定電流の起磁力を打ち消している。通電中に誤って二次側を開放すると、被測定電流が全て励磁電流となるので、鉄心の磁束密度が著しく大きくなり、焼損するおそれがある。
正解 (3)
解 説
答えを先に示すと、(3)の「負荷電圧」が誤りで、「負荷電流」と直すのが正しいです。
ギャップがあると、負荷電流が何らかの理由で大きくなりそうになっても、漏れ磁束が生じることで電圧が低下するので、結果として電流をほぼ一定に保つことができます。このように、負荷電流を一定に保てることから、磁気漏れ変圧器は定電流変圧器とも呼ばれます。
また、上記の通り、負荷電流を一定にするためには負荷の電圧を下げなければならないので、(3)の記述は誤りです。
ただし、この問題に関しては(3)の「磁気漏れ変圧器」があまり出題されることのないややマイナーな存在であるのに対し、(1)の「単巻変圧器」、(2)の「Y-Y-Δ結線」、(4)の「CTとVT」、(5)の「CT取扱時の注意点」はどれも基本的かつ重要な内容となっています。
よって、(3)の内容の間違いを見つけるのではなく、ほかの選択肢に矛盾点がないことから、消去法で(3)を正解と判断できれば充分だと思います。
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