電験三種 H28年 機械 問1 問題と解説

 問 題     

電機子巻線抵抗が0.2Ωである直流分巻電動機がある。この電動機では界磁抵抗器が界磁巻線に直列に接続されており界磁電流を調整することができる。また、この電動機には定トルク負荷が接続されており、その負荷が要求するトルクは定常状態においては回転速度によらない一定値となる。

この電動機を、負荷を接続した状態で端子電圧を100Vとして運転したところ、回転速度は1500min-1であり、電機子電流は50Aであった。この状態から、端子電圧を115Vに変化させ、界磁電流を端子電圧が100Vのときと同じ値に調整したところ、回転速度が変化し最終的にある値で一定となった。

この電動機の最終的な回転速度の値[min-1]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし、電機子電流の最終的な値は端子電圧が100Vのときと同じである。また、電機子反作用及びブラシによる電圧降下は無視できるものとする。

  1. 1290
  2. 1700
  3. 1730
  4. 1750
  5. 1950

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

この問題は回転速度の値が問われていますが、直流電動機の回転速度に関する重要公式に、以下のものがあります。

  • E:逆起電力[V]
  • p:磁極数
  • Z:電機子総導体数
  • a:巻線の並列回路数
  • Φ:1極あたりの磁束[Wb]
  • n:電機子の回転速度[min-1]

上記のうち、この問題ではpもZもaもΦも定数(不変)なので、回転速度nは逆起電力Eのみに影響することがわかります。よって、端子電圧を100Vから115Vに変更する前後の逆起電力Eがいくつであるかを求めるのが、問題を解く鍵となります。

まず、直流分巻電動機の等価回路を以下に示します。

上図において、最初はV=100V、Ia=50A、Ra=0.2Ωなので、逆起電力Eは、

となります。

一方、V’=115Vのときでも、問題文よりIaとRaはそのままなので、このときの逆起電力E’は、

となります。

以上から、端子電圧を115Vに変えたあとの回転速度n’は、

と計算することができます。

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