電験三種 H28年 法規 問11 問題と解説

 問 題     

「電気設備技術基準の解釈」に基づく地絡遮断装置の施設に関する記述について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 金属製外箱を有する使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路には、電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を原則として施設しなければならないが、この装置を施設しなくてもよい場合として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 機械器具に施されたC種接地工事又はD種接地工事の接地抵抗値が3Ω以下の場合
  2. 電路の系統電源側に絶縁変圧器(機械器具側の線間電圧が300V以下のものに限る。)を施設するとともに、当該絶縁変圧器の機械器具側の電路を非接地とする場合
  3. 機械器具内に電気用品安全法の適用を受ける過電流遮断器を取り付け、かつ、電源引出部が損傷を受けるおそれがないように施設する場合
  4. 機械器具に簡易接触防護措置(金属製のものであって、防護措置を施す機械器具と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施す場合
  5. 機械器具を乾燥した場所に施設する場合

(b) 高圧又は特別高圧の電路には、下表の左欄に掲げる箇所又はこれに近接する箇所に、同表中欄に掲げる電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。ただし、同表右欄に掲げる場合はこの限りでない。

表内の下線部(ア)から(ウ)のうち、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

上記表において、引出口とは、常時又は事故時において、発電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所から電線路へ電流が流出する場所をいう。

  1. (ア)のみ
  2. (イ)のみ
  3. (ウ)のみ
  4. (ア)と(イ)の両方
  5. (イ)と(ウ)の両方

 

 

 

 

 

正解 (a)-(3), (b)-(2)

 解 説    

(a)

「電気設備技術基準の解釈」第36条(地絡遮断装置の施設)1項からの引用です。この条文は以下の通りです。

金属製外箱を有する使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路には、電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合はこの限りでない。

  1. 機械器具に簡易接触防護措置(金属製のものであって、防護措置を施す機械器具と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施す場合
  2. 機械器具を次のいずれかの場所に施設する場合
    1. 発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所
    2. 乾燥した場所
    3. 機械器具の対地電圧が150V以下の場合においては、水気のある場所以外の場所
  3. 機械器具が、次のいずれかに該当するものである場合
    1. 電気用品安全法の適用を受ける2重絶縁構造のもの
    2. ゴム、合成樹脂その他の絶縁物で被覆したもの
    3. 誘導電動機の2次側電路に接続されるもの
    4. 第13条第二号に掲げるもの
  4. 機械器具に施されたC種接地工事又はD種接地工事の接地抵抗値が3Ω以下の場合
  5. 電路の系統電源側に絶縁変圧器(機械器具側の線間電圧が300V以下のものに限る。)を施設するとともに、当該絶縁変圧器の機械器具側の電路を非接地とする場合
  6. 機械器具内に電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器を取り付け、かつ、電源引出部が損傷を受けるおそれがないように施設する場合
  7. 機械器具を太陽電池モジュールに接続する直流電路に施設し、かつ、当該電路が次に適合する場合
    1. 直流電路は、非接地であること。
    2. 直流電路に接続する逆変換装置の交流側に絶縁変圧器を施設すること。
    3. 直流電路の対地電圧は、450V以下であること。
  8. 電路が、管灯回路である場合

この条文が頭に入っていれば、(1)が上記の四、(2)が上記の五、(4)が上記の一、(5)が上記の二に相当することがわかり、(3)は上記の六に対応するものの、「過電流遮断器」ではなく「漏電遮断器」が正しいことがわかります。

ちなみに、この条文を暗記していない場合でも、(a)の問題文の最初の部分を読むと、「地絡事故時に電路を遮断する装置が必要。だけど以下の場合は不要」というようなことが書いてあるので、選択肢の記述はどれも、地絡事故が起こらない、もしくは起こっても被害を抑えるようなものであると考えられます。

ここで、(3)の「過電流遮断器」は決して地絡事故対策として用いられるものではなく、過負荷などによる過電流のときの安全装置として働きます。一方、地絡事故に用いられるのは「漏電遮断器」です。

過電流遮断器を施設する目的をきちんと理解していれば、この問題は特に条文の暗記問題ではありません。

(b)

(ア)も(イ)も(ウ)も「電源側」となっていますが、要はこれをそのままにするか、あるいは「負荷側」に書き替えるかという話です。

基本的な考え方として、地絡が生じた際、そのすぐ上流側(電源側)で遮断することができれば、発電所や変電所に大きな被害が出ないで済みます。

よって、「発電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所から引出される電路」において地絡が生じた場合、(ア)を含む文章の通りであれば、電源側が遮断されることになるので、これはこのままで正しいです。

続いて、「配電用変圧器の負荷側の電路」において地絡が生じた場合、やはり電源側を遮断できることが大事なので、(ウ)もそのままで正しいことになります。

一方、(イ)については前提条件(問題の表の中欄の記載)が「配電用変圧器の負荷側の電路」となっていて、問題文には「同表中欄に掲げる電路に地絡を生じたときに~」と書いてあるので、(イ)も「負荷側」とすべきです。

もし(イ)が「電源側」なのであれば、表中欄も「配電用変圧器の電源側の電路」でなくてはおかしいはずです。

以上から、(ア)、(イ)、(ウ)のうち、誤っているのは(イ)のみということになります。

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