問 題
次の文章は、太陽光発電システムに関する記述である。
図1には、商用交流系統に接続して電力を供給する太陽光発電システムの基本的な構成の一つを示す。
シリコンを主な材料とした太陽電池は、通常1V以下のセルを多数直列接続した数十ボルト以上の直流電源である。電池の特性としては、横軸に電圧を、縦軸に( ア )をとると、図2のようにその特性曲線は上に凸の形となり、その時々の日射量、温度などの条件によって特性が変化する。
使用するセル数をできるだけ少なくするために、図2の変化する特性曲線において、△印で示されている最大点で運転するよう制御を行うのが一般的である。
この最大点の運転に制御し、変動する太陽電池の電圧を一定の直流電圧に変換する図1のA部分は( イ )である。現在家庭用などに導入されている多くの太陽光発電システムでは、この一定の直流電圧を図1のB部分のPWMインバータを介して商用周波数の交流電圧に変換している。
交流系統の端子において、インバータ出力の電流位相は交流系統の電圧位相に対して通常ほぼ( ウ )になるように運転され、インバータの小形化を図っている。
一般的に、インバータは電圧源であり、その出力が接続される交流系統も電圧源とみなせる。そのような接続には、( エ )成分を含む回路要素を間に挿入することが必須である。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ)
- 電力 昇圧チョッパ 同相 インダクタンス
- 電流 昇圧チョッパ 90°位相進み キャパシタンス
- 電力 降圧チョッパ 同相 インダクタンス
- 電力 昇圧チョッパ 90°位相進み インダクタンス
- 電流 降圧チョッパ 90°位相進み キャパシタンス
解 説
( ア )には「電力」または「電流」が入りますが、図2のところに「太陽電池の出力特性」と書いてある通り、これは電圧に応じた出力(=電力)の変化を図示したグラフです。よって、( ア )には「電力」が入ります。
( イ )には「昇圧チョッパ」か「降圧チョッパ」が入りますが、これらの回路図はいずれも重要なので、以下の回路図を型として覚えておくとよいと思います。
以上から、今回は「昇圧チョッパ」が正しいことがわかります。これら2つの違いについて詳しく押さえておきたい場合は、直流チョッパのページを参照してください。
( ウ )に「同相」を入れた場合は力率が1(=cos0°)に、「90°位相進み」を入れた場合は力率が0(=cos90°)になります。
太陽光発電システムでは有効電力を得ることが目的なので、力率を1にすることが望ましいです。こうすると無駄になる電力がない分、インバータの小形化をすることができます。一方、力率を0にしてしまうと、無効電力ばかりが生まれてしまいます。
よって、( ウ )には「同相」が入ります。
( エ )について、インバータとは直流を交流に変換する装置のことを指す言葉です。問題文に「一般的に、インバータは電圧源であり」とあるように、太陽光発電システムで使われるインバータには、直流電源が電圧源となっている電圧形インバータが多く使われています。
見分け方は、インバータ(図1のBの枠)内にコンデンサがあるのが電圧形インバータです。この場合、インバータと交流系統の間にインダクタンス成分を含む回路を設けます。
逆に、インバータ内にコイルがあれば、それは電流型インバータであり、このときはキャパシタンス成分を含む回路とつなげる必要があります。
以上から、( エ )には「インダクタンス」が入ります。
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