電験三種 H27年 機械 問2 問題と解説

 問 題     

次の文章は、直流機に関する記述である。

図は、ある直流機を他励発電機として運転した場合と分巻発電機として運転した場合との外部特性曲線を比較したものである。回転速度はいずれも一定の同じ値であったとする。このとき、分巻発電機の場合の特性は( ア )である。

また、この直流機を分巻発電機として運転した場合と同じ極性の端子電圧を外部から加えて分巻電動機として運転すると、界磁電流の向きは発電機運転時と( イ )となり、回転方向は( ウ )となる。これらの向きの関係から、分巻機では、電源電圧を誘導起電力より低くすることで、電動機運転の状態から結線を変更せずに( エ )ができ、エネルギーを有効に利用できる。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  (ア)  (イ)    (ウ)     (エ)

  1. A  同じ向き  逆向き   回生制動
  2. B  同じ向き  同じ向き  回生制動
  3. A  逆向き   逆向き   発電制動
  4. B  逆向き   同じ向き  回生制動
  5. A  逆向き   同じ向き  発電制動

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

( ア )について考える前に、以下に他励発電機と分巻発電機の回路図を示します。

上図からもわかるように、どちらの場合も負荷の端子電圧Vは同じ式で表すことができ、電機子電流Iaが大きくなるほどVは減少します。実際、問題文の図のAとBは、いずれも右肩下がりになっています。問題は、どちらのほうがより大きく右肩下がりになるのか、ということですが、これは回路図から判断できます。

他励発電機における誘導起電力Eは外部の回路に依存するため、この外部回路に変更を加えない限り、Eは一定となります。よって、電機子電流Iaが大きくなるにつれ、それに連動して「V=E-IaRa」の「IaRa」が大きくなるので、端子電圧Vは小さくなることがわかります。

一方、分巻発電機では、Iaが大きくなるとその分、Eが小さくなることがわかります。つまり、Iaが大きくなると、「V=E-IaRa」の「E」が小さくなるとともに「IaRa」が大きくなるので、Vは他励発電機のときよりもはっきりと減少します。

以上から、( ア )には「B」が入ります。

( イ )と( ウ )について、直流機は、簡単に分巻発電機にしたり分巻電動機にしたり切り替えることができます。これは、分巻発電機と分巻電動機の違いは下図の回路図の通りです。

注目して欲しいところは、両者の差異が、E<VであるかV<Eであるかという点と、それに伴って負荷電流Iや電機子電流Iaが反対向きになる点です。

そしてもう一つ重要なことは、いずれも界磁電流Ifの向きは変わらないということです。Ifの向きが一緒ということは、界磁の回転方向も同じということなので、( イ )と( ウ )には両方とも「同じ向き」が入ります。

最後の( エ )には「回生制動」が入ります。回生とは、「回して生かす」という字の通り、余ったエネルギーを電力に変換して何かほかのところで有効利用する、という意味です。

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