問 題
図のように既設の高圧架空電線路から、電線に硬銅より線を使用した電線路を高低差なく径間40m延長することにした。
新設支持物にA種鉄筋コンクリート柱を使用し、引留支持物とするため支線を電線路の延長方向10mの地点に図のように設ける。電線と支線の支持物への取付け高さはともに10mであるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) 電線の水平張力を13kNとして、その張力を支線で全て支えるものとする。支線の安全率を1.5としたとき、支線に要求される引張強さの最小の値[kN]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 6.5
- 10.7
- 19.5
- 27.6
- 40.5
(b) 電線の引張強さを28.6kN、電線の重量と風圧荷重との合成荷重を18N/mとし、高圧架空電線の引張強さに対する安全率を2.2としたとき、この延長した電線の弛度(たるみ)の値[m]は、いくら以上としなければならないか。最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 0.14
- 0.28
- 0.49
- 0.94
- 1.97
解 説
(a)
電線の水平張力が13kNなので、支線が支える水平成分の張力も13kNとなります。支線と支持物、地面からなる三角形は直角二等辺三角形なので、支線に掛かる張力は以下の図の通り13√2kNです。
今回は、問題文により安全率を1.5とするので、これを1.5倍した力に耐える必要があります。よって、求める答えは、
と計算できます。
(b)
最初に確認しておきたいのが、電線のたるみを計算できる公式です。
- D:電線のたるみ[m]
- w:荷重(電線1mあたり)[N/m]
- S:電線の支持物間の距離(径間長)[m]
- T:水平張力(電線の水平方向)[N]
上式に問題文で与えられた式を代入していくと、次のように計算できます。
よって、理論上のたるみは0.126mとなりますが、実際にはもう少したるみに余裕を持たせないと、何かの際にぴんと張り過ぎて断線や事故の原因となってしまいます。今回は安全率を2.2とするので、先ほどの計算結果に2.2倍したものが、求める答えとなります。
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