電験三種 H27年 電力 問12 問題と解説

 問 題     

スポットネットワーク方式及び低圧ネットワーク方式(レギュラーネットワーク方式ともいう)の特徴に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 一般的に複数回線の配電線により電力を供給するので、1回線が停電しても電力供給を継続することができる配電方式である。
  2. 低圧ネットワーク方式では、供給信頼度を高めるために低圧配電線を格子状に連系している。
  3. スポットネットワーク方式は、負荷密度が極めて高い大都市中心部の高層ビルなど大口需要家への供給に適している。
  4. 一般的にネットワーク変圧器の一次側には断路器が設置され、二次側には保護装置(ネットワークプロテクタ)が設置される。
  5. スポットネットワーク方式において、ネットワーク変圧器二次側のネットワーク母線で故障が発生したときでも受電が可能である。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

(1)は正しい記述です。配電方式には代表的なものが5つ(以下参照)ありますが、このうち、この問題で取り上げられているスポットネットワーク方式と低圧ネットワーク方式(レギュラーネットワーク方式)の2つは、複数回線の配電線から電力を供給しています。

  • 放射状方式(樹枝状方式)
  • ループ方式(環状方式)
  • バンキング方式
  • 低圧ネットワーク方式(レギュラーネットワーク方式)
  • スポットネットワーク方式

(2)は低圧ネットワーク方式(レギュラーネットワーク方式)についての記述ですが、これは、一つの変圧器の二次側から複数のフィーダを引き出し、断路器、ネットワーク変圧器を経て負荷へ電力を供給する配電方式です。

格子状の構造となっているため、どれか一つのフィーダが故障したとしても、ほかのフィーダから電気を賄うことができます。そのため、この方式は電力供給の信頼性が非常に高く、停電になることはほとんどありません。

しかし、建設費が高いので、負荷密度の高いところで使うくらいしか採算が合わず、採用例はそう多くありません。

よって、(2)も正しい記述です。

(3)と(4)についても事実と矛盾する点がないので、正しい記述といえます。

(5)はスポットネットワーク方式についての記述ですが、上記5つの配電方式のうち、このスポットネットワーク方式が最も重要です(電験三種の試験対策として)。

スポットネットワーク方式は、下図のように複数の高圧(または特別高圧)配電線からそれぞれ回線を引き込み、断路器、ネットワーク変圧器、ネットワークプロテクタ(プロテクタヒューズ&プロテクタ遮断器)を設置し、二次側のネットワーク母線に接続するような配電方式です。

上図を見てわかる通り、一つの高圧(または特別高圧)配電線が故障しても、残りの配電線から電気が供給されるので、電力供給の信頼性が非常に高いです。

また、ネットワークプロテクタ(プロテクタヒューズ&プロテクタ遮断器)は自動制御が可能なので、事故時の対応や復旧についても自動的に行われます。

さらに、ほとんどの保護装置は変圧器の二次側に施設され、一次側は断路器が必要になるくらいです。そのため、受電設備が簡素化でき、スペース的にも予算的にもメリットが大きいです。

これらのように、スポットネットワーク方式はメリットがたくさんあるのですが、二次側のネットワーク母線が故障してしまった際には、そこに接続されている全ての需要家が停電を起こすことになります。

よって、二次側のネットワーク母線は、一次側のように複数回線になっていないので、(5)の「受電が可能」が誤りで、このような状況では受電できません。

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