電験三種 H26年 理論 問5 問題と解説

 問 題     

図のように、コンデンサ3個を充電する回路がある。スイッチS1及びS2を同時に閉じてから十分に時間が経過し、定常状態となったとき、a点からみたb点の電圧の値[V]として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし、各コンデンサの初期電荷は零とする。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

この問題は電源が2つあってこのままでは考えづらいので、20Vの電源だけがあるとき(10Vの電源部分は短絡)と、10Vの電源だけがあるとき(20Vの電源部分は短絡)との条件で各コンデンサの電圧などを計算して、最後に2つの条件の数値を足す、という方法を取ります。このような計算の仕方は「重ね合わせの原理」と呼ばれています。

まずは20Vの電源だけがあるときを考えます。このときは10Vの電源部分は短絡すればいいので、次の左図のようになります(この時点では下左図の青字で記入してある電圧はわかりません。気にしないでください)。

上左図において、3つ並んでいるコンデンサのうち、下の2つは電源からみて並列になっているのがわかります。よって、下2つのコンデンサを合成すると上右図のように描くことができ、その静電容量は単純な和で計算できます。

こうすると2つのコンデンサが直列に並んだことになりますが、各コンデンサの電圧の比は、静電容量の比のちょうど反対となります(Q=CVにおいて、電荷Qが一定であるため)。

つまり、静電容量が図のように10[μF]:30[μF]=1:3なら、電圧は3:1=15[V]:5[V]となります。これが上右図の青字で記載された数字ですが、等価回路である合成前の回路(上左図)でもそのまま適用することができます。

同じことを、今度は10Vの電源だけがある場合で考えます(20V電源は短絡)。すると、下左図の回路から下右図のような等価回路が描け、計算も同様に行うことができます。

問題で問われているのはa点からみたb点の電圧の値、つまり、20[μF]のコンデンサの電圧です。上記の通り、20Vの電源を使うとb点側が5[V]高く、10Vの電源を使うとa点側が2.5[V]高いので、これらを重ね合わせると、正味でb点側が2.5[V]高いということがわかります。

よって、a点からみたb点の電圧の値は、+2.5[V]となります。

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