電験三種 H26年 機械 問18 問題と解説

 問 題     

図はJK-フリップフロップ(FF1、FF2、FF3)と論理回路Dを用いた非同期式カウンタ回路とそのタイムチャートである。次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) カウンタ回路における論理回路Dは、( ア )回路で、その役割は出力(CBA)が2進数でカウンタの最大数( イ )になった後、次のクロック入力の立ち下がりによって出力(CBA)を2進数で( ウ )にすることである。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

   (ア)  (イ)  (ウ)

  1. NOR   101  000
  2. NOR   110  111
  3. NAND  110  111
  4. NAND  110  000
  5. NAND  101  000

(b) タイムチャートにおいて、クロック入力のパルス6の立ち下がりでFF1のQ出力は1から0へ変化する。FF1の立ち下がりはFF2を動作させ、0から1に変化させる。図のa時点でFF2及びFF3のQ出力はともに( ア )である。

これら二つの( ア )は論理回路Dに入力され、その出力は( イ )となる。この( イ )は三つのJK-フリップフロップのCLR入力端子に入って、b時点において、クリアされている。

a時点からb時点までのFF2のQに現われるパルスは、パルス幅が非常に狭いため、カウンタの出力( ア )としてはカウントされない。カウンタは再びカウントを開始する。

クロック入力のパルス6が1から0に変化する時刻と、FF2及びFF3が最終的にb時点でクリアされる時刻とには時間遅れが生じている。これは論理回路Dとフリップフロップの入出力における信号の( ウ )遅れに起因している。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  (ア) (イ) (ウ)

  1. 1  0  伝搬
  2. 0  1  伝搬
  3. 1  1  伝搬
  4. 0  1  同期
  5. 1  0  同期

 

 

 

 

 

正解 (a)-(5), (b)-(1)

 解 説    

(a)

( ア )には「NAND」か「NOR」が入りますが、これらはそれぞれ「AND」と「OR」の否定です。

上図のように、ANDとORは形が違い、また、それらに○が付くと否定のNANDやNORになります。よって、今回は「NAND」が該当します。

( イ )と( ウ )について、まず、出力である(CBA)のうち、論理回路DにつながっているのはCとBです。(CB)が(11)となったとき、NAND回路は入力が1、出力が0となりますが、その先にある3つFF(FF1~3)の直前に○記号があって出力が反転するので、1となり、CLR(クリア)されます。

※ 蛇足ですが、もし(CB)が(00)、(01)、(10)であったなら、NAND回路の入力が0で、出力が1となり、FFに入る直前の否定(○マーク)により0に戻るので、CLR(クリア)されません。

ここで、(CB)が初めて(11)となる瞬間の(CBA)は(110)ですが(∵111より110のほうが小さい値)、これは問題文の「次のクロック入力」という箇所に該当する数値です。( イ )はその1つ手前なので、(CBA)=(110)よりも1つ小さい(101)となります。

また、上記の通り、3つのFFが一気にCLR(クリア)されるので、( ウ )には(000)が入ります。

以上から、( ア )、( イ )、( ウ )はそれぞれ「NAND」、「101」、「000」となるので、(5)が正解です。

(b)

( ア )と( イ )は(a)の解説が理解できていればスムーズに答えられると思います。

( ア )は問題文の図のaのところですが、FF2はそれまで0だったものがちょうど1に切り替わったタイミングであり、設問にも「FF2を動作させ、0から1に変化させる。」とあるので、FF2は1だと判断できます。また、FF3も同様に図のaのところを見ると、こちらは明らかに出力が1になっています。よって、FF2もFF3もともに1なので、( ア )には「1」が入ります。

( イ )について、FF2とFF3がともに1なら、(CB)=(11)ということなので、NAND回路の入力が1になります。NANDは否定なので、この場合の出力は0となるため、( イ )は「0」が適切です。そして、出力の先にあるFFのCLR入力端子の直前で否定(○マーク)により「1」に戻り、CLR(クリア)が働きます。

( ウ )で、( ウ )の手前の文章の通り、クリアが働く条件が整ったからといって瞬時にクリアが実行されるわけではなく、実際には若干の時間差があります。このようなタイムラグが生じてしまうのは、この制御が何段階もの処理を順々に行うことで成り立っているからです。これを「伝搬遅れ」と呼ぶので、( ウ )には「伝搬」が入ります。

以上から、( ア )、( イ )、( ウ )はそれぞれ「1」、「0」、「伝搬」となるので、(1)が正解です。

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