電験三種 H26年 機械 問1 問題と解説

 問 題     

次の文章は、直流電動機に関する記述である。

直流分巻電動機は界磁回路と電機子回路とが並列に接続されており、端子電圧及び界磁抵抗を一定にすれば、界磁磁束は一定である。このとき、機械的な負荷が( ア )すると、電機子電流が( イ )し回転速度はわずかに( ウ )するが、ほぼ一定である。

このように負荷の変化に関係なく、回転速度がほぼ一定な電動機は定速度電動機と呼ばれる。上記のように直流分巻電動機の界磁磁束を一定にして運転した場合、電機子反作用等を無視すると、トルクは電機子電流にほぼ( エ )する。

一方、直流直巻電動機は界磁回路と電機子回路とが直列に接続されており、界磁磁束は負荷電流によって作られる。界磁磁束が磁気飽和しない領域では、界磁磁束は負荷電流にほぼ( エ )し、トルクは負荷電流の( オ )にほぼ比例する。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

   (ア)  (イ)  (ウ)  (エ)   (オ)

  1. 減少  減少  増加  反比例  1/2乗
  2. 増加  増加  増加  比例   2乗
  3. 減少  増加  減少  反比例  1/2乗
  4. 増加  増加  減少  比例   2乗
  5. 減少  減少  減少  比例   1/2乗

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

直流分巻電動機は問題文にもある通り、界磁回路と電機子回路とが並列に接続されています。等価回路を描くと以下のような感じです。

機械的な負荷が増加すると、その分だけ電動機は出力を上げなければいけなくなるので、電機子電流は増加し、一方、回転速度は負荷が重くなる分、少しだけ減少します。反対に、機械的な負荷が減少すれば、電機子電流は減少し、負荷が軽いので回転速度は少しだけ増加します。

よって、( ア )が「増加」であれば、( イ )、( ウ )はそれぞれ「増加」、「減少」となります。もし( ア )が「減少」であれば、( イ )、( ウ )はそれぞれ「減少」、「増加」となります。

この段階では( ア )に「増加」を入れても「減少」を入れても不自然はないので、どちらかはわかりませんが、選択肢を見ると、この時点で(1)と(4)の2択に絞ることができます。

続いて( エ )について考えるには、直流分巻電動機のトルク特性のグラフを知っておく必要があります。直流分巻電動機の電流とトルクとの関係は以下のようなグラフで表すことができます。

上のグラフの青色がトルク曲線です(この問題では使いませんが、赤色が回転速度特性です。参考までに)。このグラフを見てもわかる通り、負荷電流がある程度小さい間は、トルクは負荷電流にほぼ比例します。電流がある程度以上だと電機子反作用による影響が現れて、線が寝るような感じに推移します。

この問題では、問題文に「電機子反作用等を無視する」とあるので、( エ )には「比例」が入ります。この段階で、選択肢は(1)と(4)のうち(4)のみに絞られるので、正解が確定します。

すでに正解はわかっていますが、確認のために( オ )についても考えます。直流直巻電動機の等価回路とトルク特性のグラフは以下のように描くことができます。下のグラフの青色がトルク曲線です(この問題では使いませんが、赤色が回転速度特性です)。

上のグラフを見てもわかる通り、トルクは負荷電流の2乗にほぼ比例するので、( オ )には「2乗」が入ります。

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