電験三種 H26年 電力 問11 問題と解説

 問 題     

次の文章は、配電線路の接地方式や一線地絡事故が発生した場合の現象に関する記述である。

  1. 高圧配電線路は多くの場合、配電用変電所の変圧器二次側の( ア )から3線で引き出され、( イ )が採用されている。
  2. この方式では、一般に一線地絡事故時の地絡電流は( ウ )程度のほか、高低圧線の混触事故の低圧側対地電圧上昇を容易に抑制でき、地絡事故中の( エ )もほとんど問題にならない。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

   (ア)    (イ)      (ウ)       (エ)

  1. Δ結線 直接接地方式 数百~数千アンペア 健全相電圧上昇
  2. Δ結線 非接地方式  数~数十アンペア  通信障害
  3. Y結線 直接接地方式 数~数十アンペア  通信障害
  4. Δ結線 非接地方式  数百~数千アンペア 健全相電圧上昇
  5. Y結線 直接接地方式 数百~数千アンペア 健全相電圧上昇

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

( ア )と( イ )の組み合わせは、「Y結線-直接接地方式」または「Δ結線-非接地方式」です。よって、選択肢(1)のような組み合わせはそもそも間違いだとわかります。

Y結線を使う場合は、Yの真ん中(中性点)で接地するので、直接接地方式となります。この場合、中性点の電圧が0なので、地絡事故が起きても健全相の電圧に影響を与えることはありません。

一方、線路のインピーダンスZが小さい値なので、地絡電流(I=E/Z[A])はかなり大きくなります。地絡電流が大きいことによるデメリットは電磁誘導障害で、これにより通信設備への悪影響があります。

直接接地方式は、取り扱う電圧が高いために、地絡事故が起きても電圧が上げたくないようなときに使えます。つまり、187[kV]以上の超高圧送電線に用いられることが多いです。

Δ結線を使う場合は中性点がないので、非接地方式となります。この方式はY結線とは反対に、地絡事故時に健全相の電圧が上がってしまいますが、地絡電流は小さいです。具体的には、地絡した相の対地電圧が0になるので、健全相の対地電圧が線間電圧の大きさ(正常時の√3倍)まで上がります。

地絡電流はで表されますが、対地静電容量Cが小さいので、地絡電流も小さくなります。非接地方式は、取り扱う電圧が低く地絡事故が起きて電圧が上がっても構わないときに、地絡電流を抑えるために使います。

今回の問題では超高圧送電線の話ではないので、Δ結線を使うのが妥当なので、( ア )には「Δ結線」、( イ )には「非接地方式」を入れるのが適切です。

また、上記の通りΔ結線では地絡電流を抑えられるので、( ウ )には「数~数十アンペア」が入り、( エ )も上記の通り、Y結線では「通信障害」が問題になりますが、Δ結線では問題になりにくいです。

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