電験三種 H26年 電力 問2 問題と解説

 問 題     

図に示す汽力発電所の熱サイクルにおいて、各過程に関する記述として誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. A→B:給水が給水ポンプによりボイラ圧力まで高められる断熱膨張の過程である。
  2. B→C:給水がボイラ内で熱を受けて飽和蒸気になる等圧受熱の過程である。
  3. C→D:飽和蒸気がボイラの過熱器により過熱蒸気になる等圧受熱の過程である。
  4. D→E:過熱蒸気が蒸気タービンに入り復水器内の圧力まで断熱膨張する過程である。
  5. E→A:蒸気が復水器内で海水などにより冷やされ疑縮した水となる等圧放熱の過程である。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

選択肢をざっと見比べるだけでも、

(1)の「A→B」と(4)の「D→E」が図中でのベクトルの向きが逆にも関わらずどちらも「断熱膨張」となっているので、(1)か(4)のどちらかが誤りである可能性が高いことがわかります。

「A→B」ではエントロピーが変わっていないので「断熱」であり、問題は「膨張」なのか「圧縮」なのかです。この過程では温度が上がっていますが、断熱時は外部からの熱の供給がないので、温度を上げるためには圧縮が必要です。

よって、(1)の「給水が給水ポンプによりボイラ圧力まで高められる」という部分は正しく、圧力を上げるのであれば膨張ではなく圧縮なので、「断熱膨張の過程である。」が誤りです。正しくは「断熱圧縮の過程である。」となります。

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