電験三種 H25年 機械 問5 問題と解説

 問 題     

次の文章は、一般的な三相同期電動機の始動方法に関する記述である。

同期電動機は始動のときに回転子を同期速度付近まで回転させる必要がある。

一つの方法として、回転子の磁極面に施した( ア )を利用して、始動トルクを発生させる方法があり、( ア )は誘導電動機のかご形( イ )と同じ働きをする。この方法を( ウ )法という。

この場合、( エ )に全電圧を直接加えると大きな始動電流が流れるので、始動補償器、直列リアクトル、始動用変圧器などを用い、低い電圧にして始動する。

他の方法には、誘導電動機や直流電動機を用い、これに直結した三相同期電動機を回転させ、回転子が同期速度付近になったとき同期電動機の界磁巻線を励磁し電源に接続する方法があり、これを( オ )法という。この方法は、主に大容量機に採用されている。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

    (ア)   (イ)    (ウ)   (エ)    (オ)

  1. 制動巻線 回転子導体 自己始動 固定子巻線 始動電動機
  2. 界磁巻線 回転子導体 Y-Δ始動 固定子巻線 始動電動機
  3. 制動巻線 固定子巻線 Y-Δ始動 回転子導体 自己始動
  4. 界磁巻線 固定子巻線 自己始動 回転子導体 始動電動機
  5. 制動巻線 回転子導体 Y-Δ始動 固定子巻線 自己始動

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

同期電動機が停止している状態で固定子巻線に対称三相交流電圧を印加すると回転磁界が生じますが、励磁された回転子磁極が受けるトルクは、同じ大きさで向きが交互に変わるので、その平均トルクは0になってしまうので電動機は起動しません。

これを改善するために、回転子の磁極面に制動巻線を施します。誘導トルクによって電動機を起動するのは、かご形誘導電動機と同じ原理です。

よって、( ア )には「制動巻線」が入り、制動巻線の役割はかご形誘導電動機でいうところの「回転子導体」に相当するので、これが( イ )になります。

また、このような始動方法を「自己始動法」といいます。これが( ウ )です。

2段落目の( エ )は( イ )が決まった時点で「固定子巻線」に決まりますが、自己始動法では対策をしないと始動電流が大きくなり過ぎてしまうため、始動補償器、直列リアクトル、始動用変圧器などを用いて電圧を下げてから始動するという点も重要なので押さえておいてください。

もう一つの重要な始動方法は3段落目の通りですが、これを「始動電動機法」といいます。これが( オ )です。先ほどの自己始動法とは違い、誘導電動機や直流電動機と接続して始動する点が特徴的です。

コメント

  1. 匿名 より:

    「もう一つの重要な指導方法は3段落目の通りですが」
    指導とありますが始動ですか