電験三種 H24年 理論 問4 問題と解説

 問 題     

真空中に、2本の無限長直線状導体が20[cm]の間隔で平行に置かれている。一方の導体に10[A]の直流電流を流しているとき、その導体には1[m]当たり1×10-6[N]の力が働いた。他方の導体に流れている直流電流I[A]の大きさとして、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし、真空の透磁率はμ0=4π×10-7[H/m]である。

  1. 0.1
  2. 1
  3. 2
  4. 5
  5. 10

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

平行な2本の無限長直線状導体の間に働く1mあたりの力F[N/m]の式は以下のように表されます。

  • F:導体間に働く1mあたりの力[N/m]
    (電流の向きが一緒なら斥力、反対なら引力)
  • μ:透磁率4π×10-7[H/m]
  • I:電流[A]
  • r:導体間の距離[m]

この式を公式として覚えている場合は、問題文で与えられている数値を代入すれば答えを出せます。

この式は比較的頻出なので、できれば公式として暗記することをお勧めしますが、もし暗記に頼らない場合は、以下のような計算をすることで導出することもできます(上式を公式として覚えられる方は、以下の解説は気にしなくて構いません)。

まず、直線導体を流れる電流がつくる磁界Hは、以下の式で表されます。

  • H:磁界[A/m]
  • I:電流[A]
  • r:導体と磁界の距離[r]

また、磁束密度B[T]は、磁界H[A/m]と透磁率μ[H/m]との積で求められます。

ここで、上記の磁界と同じ距離にもう一つの導体があるとして、その導体を流れる電流が磁界から受ける力F[N]は、フレミングの左手の法則より、次のようになります(以下、2つの電流を区別するため、最初の導体を流れる電流をI1、他方をI2とします)。

ただし、上式のうちl(エル)は力を受ける導体の長さですが、今回は「1mあたり」という話なのでこれは1となり、また、sinθはBとI2との角度なので今回は垂直で、sin90°=1となるため、これらは計算から除外できます。

よって、この式と先ほどの式を合わせると、以下のようになって、最初に示した公式が導出できます。

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