電験三種 H24年 機械 問6 問題と解説

 問 題     

次の文章は、同期発電機の自己励磁現象に関する記述である。

同期発電機は励磁電流が零の場合でも残留磁気によってわずかな電圧を発生し、発電機に( ア )力率の負荷をかけると、その( ア )電流による電機子反作用は( イ )作用をするので、発電機の端子電圧は( ウ )する。端子電圧が( ウ )すれば負荷電流は更に( エ )する。

このような現象を繰り返すと、発電機の端子電圧は( オ )負荷に流れる電流と負荷の端子電圧との関係を示す直線と発電機の無負荷飽和曲線との交点まで( ウ )する。

このように無励磁の同期発電機に( ア )電流が流れ、電圧が( ウ )する現象を同期発電機の自己励磁という。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

   (ア)  (イ)  (ウ)  (エ)  (オ)

  1. 進み  増磁  低下  増加  容量性
  2. 進み  減磁  低下  減少  誘導性
  3. 遅れ  減磁  低下  減少  誘導性
  4. 遅れ  増磁  上昇  増加  誘導性
  5. 進み  増磁  上昇  増加  容量性

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

この問題は自己励磁現象についての記述ですが、決して知識問題というわけではありません。自己励磁現象について知らなくても、以下のような考え方で正解を導くことができます。

まず、「励磁」という言葉から、磁束を増加させるような現象であると考えたいところです(「励」は「はげます」という字なので、上げるというイメージを持てれば良いと思います)。そうすると、最初に答えやすいのは( イ )で、ここが「増磁」となります。

同期発電機においては進み電流により増磁作用を示し、遅れ電流により減磁作用を示します。よって、( ア )は「進み」となり、増磁作用であれば発電機の端子電圧は「上昇」します。これが( ウ )です。

ここについては知識が必要となりますが、これは重要事項なのでぜひ押さえておいてください。ちなみに、同期電動機では反対で、遅れが増磁作用、進みが減磁作用となります。

( エ )に関して、端子電圧が上昇すれば負荷電流も「増加」する、というのはわかりやすいと思います。

最後の( オ )は「容量性」(つまりコンデンサ)か「誘導性」(つまりコイル)かの2択ですが、コンデンサを流れる電流は電圧よりも90°進み、コイルを流れる電流は電圧よりも90°遅れることを知っていれば、( オ )に入るのは「容量性」であると判断することができます。

なお、同期機の増磁作用や減磁作用に関しては同期機の電機子反作用のページにまとめてあります。ぜひ、参考にしてください。

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