電験三種 H24年 機械 問5 問題と解説

 問 題     

次の文章は、電動機と負荷のトルク特性の関係について述べたものである。

横軸が回転速度、縦軸がトルクを示す図において2本の曲線A、Bは、一方が電動機トルク特性、他方が負荷トルク特性を示している。

いま、曲線Aが( ア )特性、曲線Bが( イ )特性のときは、2本の曲線の交点Cは不安定な運転点である。これは、何らかの原因で電動機の回転速度がこの点から下降すると、電動機トルクと負荷トルクとの差により電動機が( ウ )されるためである。

具体的に、電動機が誘導電動機であり、回転速度に対してトルクが変化しない定トルク特性の負荷のトルクの大きさが、誘導電動機の始動トルクと最大トルクとの間にある場合を考える。

このとき、電動機トルクと負荷トルクとの交点は、回転速度零と最大トルクの回転速度との間、及び最大トルクの回転速度と同期速度との間の2箇所にある。交点Cは、( エ )との間の交点に相当する。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

    (ア)     (イ)    (ウ)    (エ)

  1. 電動機トルク 負荷トルク  減速 回転速度零と最大トルクの回転速度
  2. 電動機トルク 負荷トルク  減速 最大トルクの回転速度と同期速度
  3. 負荷トルク  電動機トルク 減速 回転速度零と最大トルクの回転速度
  4. 負荷トルク  電動機トルク 加速 回転速度零と最大トルクの回転速度
  5. 負荷トルク  電動機トルク 加速 最大トルクの回転速度と同期速度

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

曲線Aと曲線Bの一方が電動機トルクで、他方が負荷トルクということですが、運転開始直後(=回転速度が低いとき)には、電動機を動かさなくてはいけないので、電動機トルクが多く必要になります。回転速度が大きくなってくると、今度は負荷の側が問題になってくるので、負荷トルクが大きいほうが良いです。

よって、そのような図となる「曲線A=負荷トルク、曲線B=電動機トルク」が、安定な運転を表しているといえます。しかし、この問題では「不安定な運転」について問われているため、上記の説明の反対であるものを選ぶ必要があるので、( ア )には「電動機トルク」が、( イ )には「負荷トルク」が入ります。

また、このときに電動機の回転速度が下がると、電動機トルクが小さくなっていくので電動機は減速します。これが( ウ )です。

続いて、以下に誘導電動機のトルク-回転速度曲線(黒線)を図示します。これは重要なグラフですので、ぜひ特徴を押さえておきたいところです。

上図の赤字は、問題文の通り定トルク特性の負荷のトルクの大きさを表しています。負荷のトルクはTsとTmaxの間に横線を引いているので、結果として交点が2つできます(上図の赤丸)。

交点Cはこのうちどちらか、ということを聞いていますが、問題文の図では交点Cよりも回転速度が小さい部分では電動機トルクが負荷トルクよりも小さく、回転速度が大きい部分では、電動機トルクが負荷トルクよりも大きくなっています。

よって、2点ある交点のうち、左側のほう(回転速度零と最大トルクの回転速度との間)が交点Cに相当します。これが( エ )の答えです。

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