問 題
電気事業者から供給を受ける、ある需要家の自家用変電所を送電端とし、高圧三相3線式1回線の専用配電線路で受電している第2工場がある。第2工場の負荷は2000[kW]、受電電圧は6000[V]であるとき、第2工場の力率改善及び受電端電圧の調整を図るため、第2工場に電力用コンデンサを設置する場合、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、第2工場の負荷の消費電力及び負荷力率(遅れ)は、受電端電圧によらないものとする。
(a) 第2工場の力率改善のために電力用コンデンサを設置したときの受電端のベクトル図として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし、ベクトル図の文字記号と用語との関係は次のとおりである。
- P:有効電力[kW]
- Q:電力用コンデンサ設置前の無効電力[kvar]
- QC:電力用コンデンサの容量[kvar]
- θ:電力用コンデンサ設置前の力率角[°]
- θ’:電力用コンデンサ設置後の力率角[°]
(b) 第2工場の受電端電圧を6300[V]にするために設置する電力用コンデンサ容量[kvar]の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、自家用変電所の送電端電圧は6600[V]、専用配電線路の電線1線当たりの抵抗は0.5[Ω]及びリアクタンスは1[Ω]とする。
また、電力用コンデンサ設置前の負荷力率は0.6(遅れ)とする。
なお、配電線の電圧降下式は、簡略式を用いて計算するものとする。
- 700
- 900
- 1500
- 1800
- 2000
解 説
(a)
問題文で、第2工場の負荷の力率は「遅れ」だと書いてあるので、Qは「遅れ」を表す下矢印になります。この時点で、選択肢の(4)と(5)が候補から除外されます。
また、QCは力率改善のためにあるので、Qとは反対の上矢印でないとおかしいです。よって、(1)も不適です。
残るのは(2)と(3)ですが、(3)は合力の書き方が変です。太線の矢印が合力を示す線のはずですが、この書き方だと、「Q+QC」の長さ分が本来の「QC」となってしまいます。また、力率を改善し過ぎ(?)で合力が水平線よりも上になっているため、逆に力率悪化とも読み取れます。
よって、正しいのは(2)です。
(b)
電圧降下の式は簡略式を使って良いと問題文にあるので、以下の式を用います。
- Vd:電圧降下 300[V]
- Vs:送電端電圧 6600[V]
- Vr:受電端電圧 6300[V]
- I:線電流[A]
- R:抵抗(電線1条あたり) 0.5[Ω]
- X:リアクタンス(電線1条あたり) 1[Ω]
- cosθ’:負荷の力率
また、(a)の図と併せて考えると、有効電力と無効電力の式は以下の通りとなります。
さらに、PとQとを繋ぐ式は、同じく(a)の図から、次の式で表されます。ここで、cosθ=0.6なので、tanθ=4/3です。
(2)式、(3)式、(4)式を(1)式に代入すると
これに各数値を代入して、
となり、これを解くと、
が求まります。
コメント