電験三種 H24年 法規 問11 問題と解説

 問 題     

公称電圧6600[V]、周波数50[Hz]の三相3線式配電路から受電する需要家の竣工時における自主検査で、高圧引込ケーブルの交流絶縁耐力試験を「電気設備技術基準の解釈」に基づき実施する場合、次の(a)及び(b)の問の答えよ。

ただし、試験回路は図のとおりとし、この試験は3線一括で実施し、高圧引込ケーブル以外の電気工作物は接続されないものとし、各試験器の損失は無視する。

また、試験対象物である高圧引込ケーブル及び交流絶縁耐力試験に使用する試験器等の仕様は、次のとおりである。

(a) 交流絶縁耐力試験における試験電圧印加時、高圧引込ケーブルの3線一括の充電電流(電流計の読み)の最も近い電流値[mA]を次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 80
  2. 110
  3. 250
  4. 330
  5. 410

(b) この絶縁耐力試験で必要な電源容量として、単相交流発電機に求められる最小の容量[kV・A]に最も近い数値を次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 1.0
  2. 1.5
  3. 2.0
  4. 2.5
  5. 3.0

 

 

 

 

 

正解 (a)-(4), (b)-(1)

 解 説    

(a)

この回路はR-C並列回路なので、求める電流(I2とする)は

となります。

fは問題文より50[Hz]なので、残るCとVを以下で求めます。

Cについては、問題文中と表中の値から、「三相3線式」、0.22[μF/km]、150[m]なので、

となります。

続いてVを求めます。問題文に『交流絶縁耐力試験を「電気設備技術基準の解釈」に基づき実施する』とありますが、これ(電気設備技術基準の解釈第15条)に従うと、試験電圧は以下の表の通りとなります。

電路の種類

試験電圧

最大使用電圧が7,000V以下の電路

最大使用電圧の1.5倍の電圧

最大使用電圧が7,000Vを超え、15,000V以下の中性点接地式電路(中性線を有するものであって、その中性線に多重接地するものに限る。)

最大使用電圧の0.92倍の電圧

最大使用電圧が7,000Vを超え、60,000V以下の電路(上段に掲げるものを除く。)

最大使用電圧の1.25倍の電圧(10,500V未満となる場合は10,500V)

ちなみに、最大使用電圧とは、公称電圧に1.15を掛けて1.1を割った値です(公称電圧が1000[V]以上のとき)。本問では公称電圧が6600[V]なので、最大使用電圧は6900[V]になります。これを上表と照らすと、試験電圧は

です。

以上より、

となり、選択肢の中では(4)の330[mA]が最も近いことになります。

(b)

求めるものは単相交流発電機の容量なので、図中左側にある電流計A1と電圧計Vの値を求めることになります。

電流計A1、A2、A3、A4に流れる電流をそれぞれI1、I2、I3、I4とすると、I2は上記より322[mA]です。

一方、I4は高圧補償リアクトルのところを流れる電流で、問題文の表を見ると13[kV]のときに300[mA]とあるため、ここのリアクタンスXL4は次のように計算できます。

今回の試験電圧は10350[V]なので、このときのI4は下式で求めることができます。

また、I3は図より、I2はI4の和となります。

残るI1は変圧器を挟んでI3との対になっていて、その巻線比が1/100なので、

となります。

続いて電圧ですが、これも同様に巻線比1/100から、

とわかります。

以上より、求める容量Pは、

となります。

この値以上で最小の容量が正解となるので、選択肢中では(1)の1.0[kV・A]が答えになります。

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