問 題
公称電圧6600[V]、周波数50[Hz]の三相3線式配電路から受電する需要家の竣工時における自主検査で、高圧引込ケーブルの交流絶縁耐力試験を「電気設備技術基準の解釈」に基づき実施する場合、次の(a)及び(b)の問の答えよ。
ただし、試験回路は図のとおりとし、この試験は3線一括で実施し、高圧引込ケーブル以外の電気工作物は接続されないものとし、各試験器の損失は無視する。
また、試験対象物である高圧引込ケーブル及び交流絶縁耐力試験に使用する試験器等の仕様は、次のとおりである。
(a) 交流絶縁耐力試験における試験電圧印加時、高圧引込ケーブルの3線一括の充電電流(電流計の読み)の最も近い電流値[mA]を次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 80
- 110
- 250
- 330
- 410
(b) この絶縁耐力試験で必要な電源容量として、単相交流発電機に求められる最小の容量[kV・A]に最も近い数値を次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 1.0
- 1.5
- 2.0
- 2.5
- 3.0
解 説
(a)
この回路はR-C並列回路なので、求める電流(I2とする)は
となります。
fは問題文より50[Hz]なので、残るCとVを以下で求めます。
Cについては、問題文中と表中の値から、「三相3線式」、0.22[μF/km]、150[m]なので、
となります。
続いてVを求めます。問題文に『交流絶縁耐力試験を「電気設備技術基準の解釈」に基づき実施する』とありますが、これ(電気設備技術基準の解釈第15条)に従うと、試験電圧は以下の表の通りとなります。
ちなみに、最大使用電圧とは、公称電圧に1.15を掛けて1.1を割った値です(公称電圧が1000[V]以上のとき)。本問では公称電圧が6600[V]なので、最大使用電圧は6900[V]になります。これを上表と照らすと、試験電圧は
です。
以上より、
となり、選択肢の中では(4)の330[mA]が最も近いことになります。
(b)
求めるものは単相交流発電機の容量なので、図中左側にある電流計A1と電圧計Vの値を求めることになります。
電流計A1、A2、A3、A4に流れる電流をそれぞれI1、I2、I3、I4とすると、I2は上記より322[mA]です。
一方、I4は高圧補償リアクトルのところを流れる電流で、問題文の表を見ると13[kV]のときに300[mA]とあるため、ここのリアクタンスXL4は次のように計算できます。
今回の試験電圧は10350[V]なので、このときのI4は下式で求めることができます。
また、I3は図より、I2はI4の和となります。
残るI1は変圧器を挟んでI3との対になっていて、その巻線比が1/100なので、
となります。
続いて電圧ですが、これも同様に巻線比1/100から、
とわかります。
以上より、求める容量Pは、
となります。
この値以上で最小の容量が正解となるので、選択肢中では(1)の1.0[kV・A]が答えになります。
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