問 題
公称電圧6600[V]の三相3線式中性点非接地方式の架空配電線路(電線はケーブル以外を使用)があり、そのこう長は20[km]である。
この配電線路に接続される柱状変圧器の低圧電路側に施設されるB種接地工事の接地抵抗値[Ω]の上限として、「電気設備技術基準の解釈」に基づき、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、高圧電路と低圧電路の混触により低圧電路の対地電圧が150[V]を超えた場合に、1秒以内に自動的に高圧電路を遮断する装置を施設しているものとする。
なお、高圧配電線路の1線地絡電流I1[A]は、次式によって求めるものとする。

Vは、配電線路の公称電圧を1.1で除した電圧[kV]
Lは、同一母線に接続される架空配電線路の電線延長[km]
- 75
- 150
- 225
- 300
- 600
解 説
B種接地工事の接地抵抗値の上限値は、以下の表の通りとなります。これは重要事項として押さえておきたい内容です。

※ Igは、当該変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路の1線地絡電流[A]
本問では、問題文に「1秒以内に」とあるため、上表の最下段の「600/Ig」を使います。ちなみに、上表のIgと問題文のI1は同じ1線地絡電流を指しています。以下の解説では、問題文に合わせてI1と表記します。
ここで、1線地絡電流I1に関して注意点があり、過去の多くの出題例ではI1が実測値として与えられていますが、本問ではこれが計算式で与えられています。
実測値のときはその値をそのままI1として用いることができますが、計算式のときは、その値が2[A]未満ならI1=2[A]とし、2[A]以上なら計算結果をそのままI1として使うように定められています。
これを踏まえて計算を進めていきます。なお、この数式は今回のように問題文で与えられることが多いので、わざわざ暗記しておく必要はないと思います。
まず、Vは公称電圧を1.1で割ればよいのですが、単位が[kV]となっています。そのため、次の(1)式のようになります。

次に、Lは線路の電線延長とのことですが、これは「こう長」のことではなく、電線のトータルの長さのことを指します。よって、三相3線式の場合は「こう長」の3倍、単相2線式の場合は2倍となります。そのため、今回は三相3線式なので次の(2)式のようになります。

よって、(1)式、(2)式を問題文に記載された式に代入すれば、以下の(3)式の通りI1が求められます。

ここで前述の注意点を思い出してほしいのですが、1線地絡電流I1を(実測ではなく)計算で求めた場合は、その値が2[A]未満ならI1=2[A]とし、2[A]以上なら計算結果をそのままI1として使うように定められています。
そのため、(3)式ではI1=1.13[A]となりましたが、これは2[A]未満であるため、実際にはI1=2[A]として取り扱う必要があります。
最後に、問われているB種接地工事の接地抵抗値の上限値は600/I1で求めることができるため、次式のように算出することができます。
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以上から、正解は(4)となります。

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