「電気設備技術基準」の第十四条では、過電流からの電線及び電気機械器具の保護対策について次のように書かれています。
電路の必要な箇所には、過電流による過熱焼損から電線及び電気機械器具を保護し、かつ、火災の発生を防止できるよう、過電流遮断器を施設しなければならない。
過電流遮断器とは、その名前からも想像できますが、電路に流れる電流が大きくなり過ぎて許容値を超えたときに電流を自動的に遮断するための装置です。これがないと、過電流によって電線や電気機械器具が焼損してしまうおそれがあります。
この過電流遮断器の施設については「電気設備技術基準の解釈」に詳しく規定されています。このページでは、「低圧電路に施設する過電流遮断器の性能等」について扱い、次のページで「高圧又は特別高圧の電路に施設する過電流遮断器の性能等」について扱います。
低圧電路に使用するヒューズ
過電流遮断器として低圧電路に使用するヒューズを用いる場合には、次の2点に適合する必要があります。
- 定格電流の1.1倍の電流に耐えること。
- 定格電流の区分に応じて定格電流の1.6倍及び2倍の電流を通じたとき、定められた時間内に溶断すること(以下の表を参照)。
定格電流の区分 |
時間 |
|
定格電流の1.6倍の電流を通じた場合 |
定格電流の2倍の電流を通じた場合 |
|
30A以下 |
60分 |
2分 |
30Aを超え60A以下 |
60分 |
4分 |
60Aを超え100A以下 |
120分 |
6分 |
100Aを超え200A以下 |
120分 |
8分 |
この表は「電気設備技術基準の解釈」の37条に載っていて、本来は200A以上の区分もありますが、電験三種では200A以下で充分なので、それ以上は割愛しています。
低圧電路に使用する配線用遮断器
過電流遮断器として低圧電路に使用する配線用遮断器を用いる場合には、次の2点に適合する必要があります。
- 定格電流の1倍の電流で自動的に動作しないこと。
- 定格電流の区分に応じて定格電流の1.25倍及び2倍の電流を通じたとき、定められた時間内に自動的に動作すること(下表参照)。
定格電流の区分 |
時間 |
|
定格電流の1.25倍の電流を通じた場合 |
定格電流の2倍の電流を通じた場合 |
|
30A以下 |
60分 |
2分 |
30Aを超え50A以下 |
60分 |
4分 |
50Aを超え100A以下 |
120分 |
6分 |
100Aを超え225A以下 |
120分 |
8分 |
非包装ヒューズ
非包装ヒューズは、基本的にはつめ付きヒューズを使用しなければいけません。しかし例外として、以下の2点を満たす場合には、他の非包装ヒューズが使えます。
- ローゼットまたはこれに類するものに収める定格電流5A以下のもの。
- 硬い金属製で、端子間の長さがその定格電流に応じ、次の値以上のもの。
- 定格電流10A未満:10cm
- 定格電流20A未満:12cm
- 定格電流30A未満:15cm
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