前項のB種接地工事の中で、接地抵抗値を求めるためには「1線地絡電流」の値が必要となります。この項では、その1線地絡電流の求め方を紹介します(該当箇所は「電気設備技術基準の解釈」17条です)。
以下、複雑な式が続きますが、これを無理に覚える必要はないと思います。実際に電験三種の試験で出題される際には式が与えられるはずなので、そこに数値を代入して計算できるようにしておけば充分です。
高圧側の電路の1線地絡電流の求め方には2種類あります。ひとつは実測値で、もうひとつは計算式により計算した値です。実測値を使う場合は、得られた値をそのまま使えるのでこれといった説明はありません。一方、計算値を算出する場合は電路によって式が異なりますので、以下を参照してください。
また、特別高圧側の電路の1線地絡電流は基本的には実測値のみとなっています。しかし、測定が困難な場合に限り、個々の電線路の設計によって線路定数を求め、それに基づいて計算することも認められています。
中性点非接地式高圧電路
電線にケーブル以外のものを使用する電路の場合、式は次のようになります。
- I1:1線地絡電流[A]
- V:電路の公称電圧を1.1で除した電圧[kV]
- L:同一母線に接続される高圧電路の電線延長[km]
ただし、右辺の第2項の値は小数点以下を切り上げます。また、I1が2未満となる場合は、2とします。
電線にケーブルを使用する電路の場合、式は次のようになります。
- L’:同一母線に接続される高圧電路の線路延長[km]
ケーブル以外のときと同様、右辺第2項の値は小数点以下切り上げ、I1が2未満となる場合は2となります。
電線にケーブル以外のものとケーブルを使用する電路の場合、式は次のようになります。
計算上の注意として、右辺の第2項及び第3項の値は、それぞれの値が負となる場合は0とします。また、I1の値は、小数点以下は切り上げて、2未満となる場合は2とします。
中性点接地式高圧電路
- I2:1線地絡電流[A]
- I1:上記により計算した1線地絡電流[A]
- V:電路の公称電圧[kV]
- R:中性点に使用する抵抗器の電気抵抗値[Ω]
中性点リアクトル接地式高圧電路
- I3:1線地絡電流[A]
- I1:上記により計算した1線地絡電流[A]
- V:電路の公称電圧[kV]
- R:中性点に使用する抵抗器の電気抵抗値[Ω]
- X:中性点に使用するリアクトルの誘導リアクタンスの値[Ω]
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