主任技術者の選任、技術基準への適合

主任技術者の選定

事業用電気工作物を設置する場合、その工事や維持、運用などの保安監督として、主任技術者を専任する必要があります。電気事業法で定める主任技術者には、以下の3種類(7区分)があります。

  • 電気主任技術者(第一種、第二種、第三種)
  • ダム水路主任技術者(第一種、第二種)
  • ボイラー・タービン主任技術者(第一種、第二種)

このうち特に大事なのが、一番上の電気主任技術者になります(電験三種試験なので、当然ともいえますが)。電気主任技術者の区分による違いは、以下の通りです。

  • 第一種電気主任技術者:すべての電気工作物の保安監督として専任できる
  • 第二種電気主任技術者:170,000V未満の電気工作物の保安監督として専任できる
  • 第三種電気主任技術者:50,000V未満の電気工作物の保安監督として専任できる(ただし、出力5,000kW以上の発電所を除く)

ちなみに、ダム水路主任技術者は水力発電所で必要、ボイラー・タービン主任技術者は火力発電で必要、といった具合です。

技術基準への適合

事業用電気工作物を設置する場合には、技術基準への適合を維持することが求められます。具体的には、主に以下の3つの条件を満たすことで、その事業用電気工作物が技術基準に適合しているということになります。

  • 人体に危害を及ぼし、物件に損傷を与えないようにすること。
  • 他の電気的設備その他の物件の機能に電気的または磁気的な障害を与えないようにすること。
  • 事業用電気工作物の損壊により一般電気事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすること。

これに適合していないと認められる場合、主務大臣(経済産業大臣など)から事業用電気工作物を設置する者に対し、事業用電気工作物の修理、改造、移転などの措置を命じることができます。改善されるまでの間、事業用電気工作物の使用を一時停止したり、制限したりすることもできます。

ちなみに、事業用電気工作物が技術基準に適合しない場合、改善のための費用は自分(設置者)が負担するのが普通です。しかし、もし他者が電気的設備を設置したことによって、自分の事業用電気工作物が不適合となった場合には、改善のための費用の分担を当事者間の協議によって定めることとなっています。

コメント