電気工事士法

電気工事士法の目的

電気工事士法の目的は、「電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定め、電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与すること」です。

電気工事士法の用語の定義

一般用電気工作物:
電気事業法での定義と同様です(電気工作物の定義・種別のページを参照)。

自家用電気工作物:
これも電気事業法での定義と基本的には同じです。ただし、電気事業法の定義のうち、発電所、変電所、最大電力500kW以上の需要設備、送電線路、保安通信設備は除きます(これらは、この法律では自家用電気工作物には該当しません)。

電気工事:
一般用電気工作物や自家用電気工作物を設置したり変更したりする工事のことを指します。ただし、軽微な工事は除きます(軽微な工事については下記で解説します)。

電気工事士:
第一種電気工事士と第二種電気工事士に分かれます(それぞれの有資格者が従事できる作業については、下記で解説します)。

電気工事士等

電気工事士には上記の通り、第一種電気工事士と第二種電気工事士とがありますが、それとは別に、特種電気工事資格者と認定電気工事従事者という2つの有資格者を合わせ、電気工事士法では4種類の有資格者について、従事できる作業がそれぞれ以下のように定められています。

  • 第一種電気工事士:自家用電気工作物に係る電気工事の作業
  • 第一種電気工事士or第二種電気工事士:一般用電気工作物に係る電気工事の作業
  • 特種電気工事資格者:特種電気工事(自家用電気工作物に係る電気工事のうち特殊なもの)の作業
  • 認定電気工事従事者:簡易電気工事(自家用電気工作物に係る電気工事のうち簡易なもの)の作業

軽微な工事

一般用電気工作物や自家用電気工作物を設置したり変更したりする工事は基本的には電気工事となりますが、軽微な工事については電気工事から外れるため、電気工事士法の規制や基準が掛からなくなります。ここでいう「軽微な工事」とは、具体的には以下の条件のいずれかに該当するものを指します。

  • 600V以下で使用する差込み接続器、ねじ込み接続器、ソケット、ローゼットその他の接続器または600V以下で使用するナイフスイッチ、カットアウトスイッチ、スナップスイッチその他の開閉器にコードまたはキャブタイヤケーブルを接続する工事
  • 600V以下で使用する電気機器または600V以下で使用する蓄電池の端子に電線をねじ止めする工事
  • 600V以下で使用する電力量計もしくは電流制限器またはヒューズを取り付け、または取り外す工事
  • 電鈴、インターホーン、火災感知器、豆電球その他これらに類する施設に使用する小型変圧器の二次側の配線工事
  • 電線を支持する柱、腕木その他これらに類する工作物を設置し、または変更する工事
  • 地中電線用の暗きょまたは管を設置し、または変更する工事

軽微な作業

上記の「軽微な工事」と似た言葉で、「軽微な作業」があります。自家用電気工作物に係る電気工事の作業は、本来は第一種電気工事士の仕事ですが、軽微な作業であれば資格が不要です。

ここでいう「軽微な作業」とは、具体的には以下の条件に当てはまらないものを指します。

逆にいえば、以下の条件のいずれかに該当する場合、第一種電気工事士が作業しなくてはいけません(電験三種の試験は選択問題なので、これら全てを正確に覚えておく必要はほとんどないと思いますが、参考までに記載します)。

  • 電線相互を接続する作業
  • がいしに電線を取り付け、またはこれを取り外す作業
  • 電線を直接造営材に取り付け、またはこれを取り外す作業
  • 電線管、線樋、ダクトに電線を収める作業
  • 配線器具を造営材に取り付け、もしくはこれを取り外し、またはこれに電線を接続する作業
  • 電線管を曲げ、もしくはねじ切りし、または電線管相互もしくは電線管とボックスその他の附属品とを接続する作業
  • 金属製のボックスを造営材に取り付け、またはこれを取り外す作業
  • 電線、電線管、線樋、ダクトが造営材を貫通する部分に金属製の防護装置を取り付け、またはこれを取り外す作業
  • 金属製の電線管、線樋、ダクトまたはこれらの附属品を、建造物のメタルラス張り、ワイヤラス張りまたは金属板張りの部分に取り付け、またはこれらを取り外す作業
  • 配電盤を造営材に取り付け、またはこれを取り外す作業
  • 接地線を自家用電気工作物に取り付け、もしくはこれを取り外し、接地線相互もしくは接地線と接地極とを接続し、または接地極を地面に埋設する作業
  • 600Vを超えて使用する電気機器に電線を接続する作業

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