需要率・不等率・負荷率

この項では、需要率・不等率・負荷率という、少しだけ紛らわしい言葉の使い分けと計算式を紹介します。これらは計算問題として頻出なので、それぞれの計算式をしっかりと覚えることが大事です。

需要率

需要率は、「設備容量の合計値」に対する「最大需要電力」で表されます。

たとえば、設備容量が100[W]の機器が5つあるとして、最大需要電力が300[W]であるなら、需要率は、300/(100×5)×100=60[%]ということになります。

設備容量が100[W]、200[W]、300[W]の機器が1つずつあるとして、最大需要電力が300[W]なら、需要率は、300/(100+200+300)×100=50[%]ということになります。

この値は普通、40~60[%]くらいになることが多いです。このことを知っていると、明らかな計算ミスを防ぐことができます。

不等率

不等率は、「合成最大需要電力」に対する「各負荷の最大需要電力の合計値」で表されます。

各需要家で電気を最大に使う時間帯は、普通、異なります。ある需要家では朝にたくさん電気を使い、別の需要家では夜にたくさん使う、というような感じです。

ある1日における各需要家の状況を見たときに、需要家Aの最大需要電力が100[kW]、需要家Bの最大需要電力が200[kW]、需要家Cの最大需要電力が300[kW]だったとしたら、各負荷の最大需要電力の合計は600[kW]になります。

一方、この3件の需要家をまとめて考えたとき、ある1日の最大需要電力は必ずしも600[kW]にはなりません。なぜなら、各々の需要家で最大需要電力となっている時間帯が異なる可能性があるからです(むしろ異なるほうが自然です)。

仮に、3件まとめて見た際の、ある1日における最大需要電力(これを合成最大需要電力といいます)が400[kW]だったとすると、このときの不等率は、(100+200+300)/400=1.5と計算できます。

つまり、各需要家の最大需要電力のタイミングがどれだけずれているかを表す指標が、この不等率です。式を見るとわかるように、この値は必ず1以上になります。

負荷率

負荷率は、「最大需要電力」に対する「平均需要電力」で表されます。

ここでは便宜上、「ある1日の」という表現にしていますが、「ある1時間」でも「ある1ヵ月」でも構いません。分母と分子の期間が同一の期間であれば、何でも大丈夫です。

たとえばある1日(24時間)の需要電力が以下のような場合、

  • 0時~8時:5[kW]
  • 8時~16時:10[kW]
  • 16時~24時:0[kW]

24時間の需要電力の合計は、(5×8)+(10×8)+(0×8)=120[kW・h]なので、1時間あたりだと、120/24=5[kW]です。よって、平均需要電力は、5[kW]となります。

一方、最大需要電力は、8時~16時の時間帯の10[kW]です。

以上から、負荷率は、5/10×100=50[%]と計算することができます。

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