力率改善、電圧フリッカ対策

力率改善

送電の力率を改善するためには様々な方法がありますが、基本的には電圧降下と線路損失を極力減らすことです。

電圧降下の式は、三相3線式送電線の電圧降下のページで紹介したことの繰り返しになりますが以下の式で表すことができます。

  • Vd:電圧降下[V]
  • Vs:送電端電圧[V]
  • Vr:受電端電圧[V]
  • I:線電流[A]
  • R:抵抗(電線1条あたり)[Ω]
  • X:リアクタンス(電線1条あたり)[Ω]
  • cosθ:負荷の力率

このVdを小さくするには右辺の(Rcosθ+Xsinθ)を最小にすればよいのですが、そのやり方として負荷と並行に進相コンデンサをつなぐ方法があります。負荷と並列に進相コンデンサを接続すると、無効電力の部分(Xsinθ)の大きさを変えることができるので、これを0に近づければ電圧降下の影響が減り、力率が100%近くまで上がります。

続いて、線路損失を減らすことを考えます。

線路損失の式は、三相3線式送電線の送電電力・線路損失のページで紹介したことの繰り返しになりますが以下の式で表すことができます。

抵抗値を変えるのは大がかりになってしまいますが、電流値を下げるというのは比較的やりやすいです。もちろん、電流値を下げると送電電力自体が低下しますので、その点は注意が必要です。

電圧フリッカ対策

フリッカ(flicker)とは明滅、ゆらぎといった意味がありますが、ここでは「ちらつき」と表現します。アーク炉などの大きな負荷設備の場合、一時的な大電流が流れるなど電流の変動が激しく、それに伴って電圧変動が起こります。そうなると、接続している各設備が悪影響を受け、照明器具が明滅を繰り返したり、テレビがちらついたりします。

このような現象のことを「電圧フリッカ」といい、これを起こさないようにすることが重要です。

電圧フリッカ対策にはいくつかのやり方があります。たとえば、アーク炉など電圧フリッカの原因となる機器とほかの機器とを電気的に分ける方法です。アーク炉専用の配電線にしてしまえば、いくら電圧変動が起こってもほかの機器に悪影響を与えません。

また、低圧配電線の系統構成として、バンキング方式を採用するのも効果的です。バンキング方式は各種の方式の中でも電力損失や電圧降下が少ないのが特徴です。

ほかには、電線を太くすることが挙げられます。電線を太くすれば線路抵抗が小さくなるので、電圧変動も小さくなって電圧フリッカが起きにくくなります。

直列コンデンサを挿入することでも電圧フリッカ対策になります。直列コンデンサを挿れると線路リアクタンスが小さくなるので、電圧変動も小さくなります。

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