地中送電線のケーブル

ケーブルの種類

地中送電線路に使う電線はケーブルのみと定められています。裸電線はもちろん、絶縁電線などを用いることもできず、とにかくケーブルのみです。そのケーブルにもいくつか種類がありますが、代表的なものとしてOFケーブル、CVケーブル、CVTケーブルを紹介します。

まずはOFケーブルです。これはOil Filled Cableの略で、つまり、ケーブルの中心部に油(絶縁油)で満たされた管があるタイプのケーブルです。

電力ケーブルは普通、温度変化によって膨張や収縮を起こしますが、OFケーブルはこの油の存在によって圧の調整が行われ、ケーブルの膨張や収縮が起きづらくなり、結果、ケーブルが安定します。

よって、大電力の送電にも対応できるというのが、このOFケーブルの強みです。

続いてCVケーブルです。これはCross-linked polyethylene insulated Vinyl sheathed Cableの略で、架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブルと訳されます。覚える必要はありません、あくまで紹介までに記載しました。

CVケーブルの「V」がビニルであること程度を覚えておけば、これがビニールのケーブルだとわかると思います。よって、これは取り扱いが比較的簡単で、布設や保守、接続工事がやりやすいタイプのケーブルになります。

また、誘電損が少ないことや、耐熱性に優れるといった特徴もあります。

このような特徴から、CVケーブルはよく使われています。

最後にCVTケーブルです。これはCV Triplex type Cableの略で、トリプレックス型架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブルと訳されます。CVケーブルのトリプルということは、つまり、上記のCVケーブルを3条より合わせたものです。

特徴としてはCVケーブルと似たような感じになりますが、3条より合わせていることで表面積が増え、CVケーブル以上に放熱性に優れます。

また、より合わせていることが可とう性が上がり、ケーブルを容易に曲げることができ、これまたCVケーブル以上に扱いやすくなります。

ケーブルの損失

送電の際に電力の損失が生じるのは仕方ないことですが、ケーブルによる送電での損失には、大きく3つあります。それらは、抵抗損、誘電体損、シース損です。これらはいずれも重要なので、その名前とともに特徴を押さえておいてください。

まず、抵抗損はその名の通り、電線(ケーブル)の抵抗による損失です。その大きさは、抵抗Rと電流Iを使うと、RI2になります。

続いて、誘電体損は、交流電圧の印加によりケーブルの絶縁体内で発生する損失です。交流電界を誘電体に加えたとき、電気エネルギーの一部が熱エネルギーに変わるために生じる損失なので、そのエネルギーは、静電容量と誘電体正接(タンジェント)にそれぞれ比例します。

最後に、シース損は、ケーブルの金属シースに誘導される電流による発生損失です。

ケーブルに電流を流すとその周りに磁界が発生しますが、これによりシースに電磁誘導が起こり、起電力が生まれます。この起電力によって回路電流と渦電流が流れますが、これらの電流による損失がシース損と呼ばれます。よって、そのエネルギーはケーブルを流れる電流に比例します。

また、CVTケーブルを使うと、各ケーブルの周りの磁界が打ち消し合うため、起電力がほとんど発生せず、シース損もほぼ生じません。

もうひとつ重要なこととして、シース損を低減させる方法として、クロスボンド接地方式の採用が効果的です。これは、クロスボンド接地方式を用いることでシース電流同士を打ち消し合うことができるからです。

コメント