配電線路の電気方式には、単相2線式、単相3線式、三相3線式、三相4線式の4種類があります。主に使われるのは三相3線式と単相3線式なので、この2つを重点的に理解しておくとよいと思います。
単相2線式
配電線路の中で最も単純な構造をしているのが、単相2線式です。100[V]の回路として使うことができますが、近年では単相3線式に取って代わる傾向にあります。
上図が単相2線式の等価回路ですが、これを見てわかる通り、負荷電力Pは次の式で表すことができます。
また、線路が2本なので、線路損失Plossは次の通りとなります。
単相3線式
単相2線式の改良版が単相3線式です。単相2線式のちょうど真ん中にもう1線追加したかたちで、これにより負荷電力に対する線路損失が少なくなっています。
この真ん中の線(中性線といいます)には基本的には電流が流れていません。中性線を基準に、図の上側と下側を比較すると負荷も電圧も線路の抵抗も等価なので、電流の向きが反対に流れるとすると、ちょうど中性線には電流が流れないことになります。これが理想の状態です。
この中性線で接地しているため、両側の線路がいずれも100[V]の回路として使われています(上図には描いていませんが、もし上の線と下の線との間に負荷を接続すれば、200[V]として取ることができます)。
負荷電力Pと線路損失Plossは以下の式で表されます。この負荷電力は2つ分の負荷電力なので、もし1つ分の負荷電力が必要であれば、÷2をしてください。
3線なのにPlossが3RI2ではなくて2RI2である理由は、中性線には電流が流れてないので損失が出ないためです。ただし、何かの都合で外側の2線のバランスが崩れると、中性線に電流が流れて損失が増大することになります。
三相3線式
最も重要な配電方式です。
回路は下図のようにΔ回路またはY回路の形をとっていて、200[V]の回路として多用されています(Δ回路やY回路の説明についてはY結線とΔ結線の基本事項のページを参照してください)。
負荷電力Pと線路損失Plossは以下の式で表されます。この負荷電力は三相まとめての負荷電力なので、もし1相あたりの負荷電力が必要であれば、÷3をしてください。線路損失についても同様に、1線あたりの損失が知りたいなら、÷3が必要です。
三相4線式
三相3線式のY(スター)接続から1線(中性線)を追加したものが三相4線式です。回路図は以下の通りで、単相3線式の中性線に電流が流れないのと同じく、三相4線式の中性線にも電流が流れません。また、この方式は400[V]の回路として使われます。
負荷電力Pと線路損失Plossは以下の式で表されます。この負荷電力は三相まとめての負荷電力なので、もし1相あたりの負荷電力が必要であれば、÷3をしてください。
4線なのにPlossが4RI2ではなくて3RI2である理由は、単相3線式のときと同様、1線は電流が流れていないためです。
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