熱中性子炉(GCR・ATR)と高速増殖炉(FBR)

ガス冷却型原子力発電所(GCR)

ガス冷却型原子力発電所は間接サイクルで、加圧水型と同様に間接サイクルです。

加圧水型との違いは構成材料が異なることです。ガス冷却型では、核燃料に天然ウランを用います。減速材と反射材はともに黒鉛です。冷却材は炭酸ガスで、これがガス冷却型と呼ばれる所以です。制御材はホウ素鋼などを用います。

また、ガス冷却型原子力発電所は日本で初めての原子力発電所です。

ガス冷却型原子力発電所(GCR)を基準として、燃料を天然ウランから濃縮ウランに変えたものを改良ガス冷却型原子力発電所(AGR)といいます。改良ガス冷却型からさらに、冷却材をヘリウムに変えると、高温ガス型冷却型原子力発電所(HTGR)となります。しかし、このあたりはそこまで重要ではないので、参考程度に留めてもいいかと思います。

新型転換炉(ATR)

新型転換炉は熱中性子炉としては唯一、燃料にプルトニウムを用います。減速材は重水で、冷却材は軽水、また、直接サイクルです。

日本では「ふげん」という新型転換炉があり、プルトニウムを使うことから核燃料の効率が上がると期待されましたが、なかなかうまくいかず、「ふげん」はすでに廃炉になりました。

高速増殖炉(FBR)

高速増殖炉は以下の図のような構造です。

上図のとおり、高速増殖炉は循環系が3つあります。その理由を説明する準備として、まずは原子炉の構成材料を紹介します。

高速増殖炉の核燃料は濃縮ウランもしくはプルトニウムです。減速材は使いません。中性子が高速のままでも核分裂を起こせるのが、この高速中性子炉(高速増殖炉)の最大の特徴です。冷却材には液体ナトリウムやヘリウムを用います。制御材は炭化ホウ素を使います。

ここで、冷却材として液体ナトリウムを使っていますが、ナトリウムは水や空気に触れるとかなりの発熱をしたり発火したりします。もしも3つの循環系のうち真ん中の循環系がないと、原子炉側の液体ナトリウムとタービン側の水が何かの折に接触してしまうと、その反応により原子炉を巻き込んだ大事故になってしまいます。

しかし、間にもうひとつのナトリウムの循環系と入れると、原子炉の系と真ん中の系は両方ともナトリウムなので接触しても爆発しません。真ん中の系とタービンの系はナトリウムと水なので爆発の危険がありますが、もし爆発しても原子炉を巻き込むことはありません。このような理由から、高速増殖炉は3つの循環系を持ちます。

高速増殖炉は、日本には「もんじゅ」と「常陽」があります。

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