架空送電線の振動対策

架空送電線は風や雨、雪などによって振動しますが、その振動にはいくつかの種類があります。この項では、それぞれ振動の原因や対策について紹介していきます。

  1. 微風振動
  2. ギャロッピング
  3. スリートジャンプ
  4. コロナ振動
  5. サブスパン振動

微風振動

比較的ゆるやかな風が電線に対して直角の方向に吹くと、その電線の風下側にカルマン渦という気流が生じ、これによって電線が上下に定常的に振動します。これが微風振動と呼ばれる現象です。

この微風振動は平地で起こりやすいです。山林などでは風にとっての障害物が多い一方、開けた平地では風が一方向に流れやすく、それが電線に対して直角だったときに微風振動が起こるためです。また、電線が軽いほど、径間長が長いほど、張力が大きいほど、微風振動は起こりやすくなります。

微風振動によって電線が振動し続けると、電線が痛んで漏電や断線の恐れが生じます。そのため、これを防ぐ必要がありますが、対策としてはダンパやアーマロッドなどの防振装置をつけることが効果的です。ダンパは振動の吸収材となり、アーマロッドは電線の補強の役割を果たします。

ギャロッピング

ギャロッピング(galloping)のギャロップ(gallop)とは、馬が疾走するときの走り方の名前です。馬が駆けるときのように、電線が上下に大きく振動することから、ギャロッピングと呼ばれる振動があります。

これは電線に雪や氷がくっついたところに風が吹いてきた際に起きる現象です。雪などによって電線が重くなっていることに加え風を受ける面積が大きくなっているため、その振動も大きくなります。電線の振動幅が大きいと、悪いときには電線同士が接触してショートすることもあります。

これを防ぐためには、相間スペーサを挿入すれば良いです。こうすれば電線の接触を避けられます。また、微風振動のときと同じですが、ダンパを取り付けることで振動を軽減することも効果的です。

スリートジャンプ

スリートジャンプもギャロッピングと同様、雪によって起きる振動です。こちらは、電線の上に積もった雪が落下する際、その反動で電線が跳ね上がる現象を指す言葉になります。ギャロッピング同様に電線が大きく揺れるので、電線同士が接触してショートをするなどの危険があります。

対策としては、相間スペーサの挿入や、オフセットの設置などが挙げられます。

コロナ振動

雨が降って電線の下側に水滴がついているとき、水滴表面の電位傾度が高くなるとコロナ放電が発生します。これによって水滴が飛ばされ、その反動で電線が細かく振動する現象が、コロナ振動です。水滴が原因となるため、雨でかつ風の弱い日に起きやすくなります。

コロナ振動を防ぐためにはコロナ放電が生じないようにすれば良いため、多導体方式にすることが対策になります。また、がいしの重さを調節することで、振動数が変わってコロナ放電を起こりにくくすることができます。

サブスパン振動

サブスパンとは、スペーサとスペーサで区切られた区間のことです。多導体の架空送電線において、風速が数~20m/sでサブスパンの電線が振動し始め、特に10m/sを超えると激しく振動することがあります。この現象をサブスパン振動といいます。

この振動は振動回数が多いのと、比較的振幅が大きいという特徴があるため、電線の磨耗につながります。

サブスパン振動を防ぐためには、スペーサの取り付け位置を工夫するのが効果的です。

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