架空送電線の雷害対策

この項では、送電線の雷害対策について解説します。

雷害とは、雷による送電線への悪影響をことです。雷害対策には、具体的には以下の7つが挙げられます。

  1. 架空地線の設置
  2. 埋設地線の設置
  3. アークホーンの導入
  4. アーマロッドの導入
  5. 不平等絶縁方式(不平衡絶縁方式)
  6. 高速度再閉路方式
  7. 送電用避雷装置

架空地線の設置

架空地線というのは、送電線のてっぺんから延びる接地線です。

これは落雷の防止、誘導雷の防止、送電線の電磁誘導障害の低減などの効果があります。遮蔽角が小さいほど効果があります。

埋設地線の設置

鉄塔から延びる埋設地線を接地することにより鉄塔の接地抵抗が下がり、逆フラッシオーバを防止することができます。

逆フラッシオーバとは、架空地線や鉄塔に雷撃があった際に接地抵抗が高いと、架空地線や鉄塔の電圧が上がって送電線に対して放電してしまうことをいいます。

つまり、逆フラッシオーバを避けるためには架空地線や鉄塔の接地抵抗を下げればよいということになります。

アークホーンの導入

アークホーンとは、がいし装置の両端に取り付ける金属です。

これを付けると、がいし装置が雷撃を受けてフラッシオーバする際に、アークホーン間でアークが発生します。そうすることでがいし装置のほうにアークの悪影響がいかなくなる、という仕組みです。

また、アークホーンは逆フラッシオーバに対しても有効です。

アーマロッドの導入

アーマロッドはがいし装置の電線支持部にある補強材です。

フラッシオーバや逆フラッシオーバが発生した際、電線の溶断を防ぐために取り付けます。

不平等絶縁方式(不平衡絶縁方式)

2回線送電線において、あえて絶縁強度に差をつけることを不平等絶縁方式(不平衡絶縁方式)といいます。

そうすることで2回線とも同時に事故に陥るという可能性を小さくすることができます。

高速度再閉路方式

雷撃による故障時に、事故区間を高速に切り離してやり過ごし、そののちに再び遮断器を閉路して送電を開始するようなやり方が、高速度再閉路方式です。

送電用避雷装置

がいし装置と並列に取り付ける、酸化亜鉛素子を含む装置を送電用避雷装置といいます。

これがあると雷撃を受けた際にこちらに電流が流れ、がいし装置への雷害の影響を防ぎます。

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