問 題
定格容量80MV・A、一次側定格電圧33kV、二次側定格電圧11kV、百分率インピーダンス18.3%(定格容量ベース)の三相変圧器TAがある。三相変圧器TAの一次側は33kVの電源に接続され、二次側は負荷のみが接続されている。
電源の百分率内部インピーダンスは、1.5%(系統基準容量ベース)とする。ただし、系統基準容量は80MV・Aである。なお、抵抗分及びその他の定数は無視する。
次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) 将来の負荷変動等は考えないものとすると、変圧器TAの二次側に設置する遮断器の定格遮断電流の値[kA]として、最も適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 5
- 8
- 12.5
- 20
- 25
(b) 定格容量50MV・A、百分率インピーダンスが12.0%(定格容量ベース)の三相変圧器TBを三相変圧器TAと並列に接続した。
40MWの負荷をかけて運転した場合、三相変圧器TAの負荷分担の値[MW]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、三相変圧器群TAとTBにはこの負荷のみが接続されているものとし、抵抗分及びその他の定数は無視する。
- 15.8
- 19.5
- 20.5
- 24.2
- 24.6
解 説
(a)
問われているのは遮断器の定格遮断電流値ですが、これは事故時の短絡電流を許容できなくてはならないので、短絡電流よりも大きな値でなくてはなりません。よって、短絡電流を計算で求めて、それを少し上回るくらいの値の選択肢が正解となります。
まず最初に、問題文を図示すると次のように描くことができます。
次に確認しておきたいのが、%インピーダンス、定格電流、短絡電流をつなぐ式です。これは重要公式として押さえておいてください。
- %Z:%インピーダンス [%]
- I:定格電流 [A]
- Is:短絡電流 [A]
今回求めたいのはIsなので、これから%ZとIを計算していくことになります。まずは、%Zのほうから考えます。
問題文に記載されている%Zは2つ(18.3%と1.5%)ありますが、どちらも基準容量が80MV・Aで一致しているため、三相変圧器全体の%Zは単純にこれらの和になります。
ちなみに、もし基準容量が異なっていたら、これらの基準を合わせなくてはなりません。この場合の解法はR1 電力 問8の解説を参考にしてください。
これで%Zの値がわかったので、続いて定格電流Iを求めます。
基準容量Pは80[MV・A]、変圧器二次側の定格電圧Vは問題文より11[kV]なので、定格電流Iは電力の公式を使って計算することができます。
なお、事故点は変圧器の二次側なので、定格電流や定格電圧も変圧器の二次側で考えます。つまり、定格電圧は一次側の33[kV]ではなく二次側の11[kV]を使います。また、三相なので下式で√3を入れ忘れないように注意してください。
以上から、%Zの値は(2)式で、Iの値は(3)式で求めることができたので、これを(1)式に代入して短絡電流Isを求めます。
よって、短絡電流Isは21.2[kA]であり、遮断器の定格遮断電流はこれを上回らなくてはならないので、選択肢のうち21.2以上で最も近い値である、(5)の「25」が正解となります。
(b)
並列に接続した変圧器の負荷分担に関して、問題文に記載されている%Zは2つ(18.3%と12.0%)ありますが、それぞれ基準とする容量が異なっています(80[MV・A]と50[MV・A])。よって、まずはこれらの基準を合わせる必要があります。
どちらをどちらに合わせても構いませんが、今回は変圧器TAの80[MV・A]を基準容量として計算していきます。変圧器TBの%ZBを50[MV・A]基準から80[MV・A]基準に変換した値を%ZB‘とすると、これは以下の(4)式で表すことができます。
これで基準容量がそろった%ZAと%ZB‘がわかりました。よって、変圧器TAの負荷分担PA[MW]は次のような計算によって算出できます。なお、外部負荷の容量Pは、問題文より40[MW]です。
以上から、正解は(3)となります。
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