電験三種 R3年 法規 問1 問題と解説

 問 題     

次の文章は、「電気事業法」に基づく調査の義務及びこれに関連する「電気設備技術基準の解釈」に関する記述である。

a) 一般用電気工作物と直接に電気的に接続する電線路を維持し、及び運用する者(以下、「( ア )」という。)は、その一般用電気工作物が経済産業省令で定める技術基準に適合しているかどうかを調査しなければならない。ただし、その一般用電気工作物の設置の場所に立ち入ることにつき、その所有者又は( イ )の承諾を得ることができないときは、この限りでない。

b) ( ア )又はその( ア )から委託を受けた登録調査機関は、上記a)の規定による調査の結果、電気工作物が技術基準に適合していないと認めるときは、遅滞なく、その技術基準に適合するようにするためとるべき( ウ )及びその( ウ )をとらなかった場合に生ずべき結果をその所有者又は( イ )に通知しなければならない。

c) 低圧屋内電路の絶縁性能は、開閉器又は過電流遮断器で区切ることができる電路ごとに、絶縁抵抗測定が困難な場合においては、当該電路の使用電圧が加わった状態における漏えい電流が( エ )mA以下であること。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •     ア       イ    ウ    エ
  1. 一般送配電事業者等  占有者  措置    2
  2. 電線路維持運用者   使用者  工事方法  1
  3. 一般送配電事業者等  使用者  措置    1
  4. 電線路維持運用者   占有者  措置    1
  5. 電線路維持運用者   使用者  工事方法  2

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

問題文のa)に該当するのは「電気事業法」第57条(調査の義務)、b)は「電気事業法」第57条の2(調査業務の委託)、c)は「電気設備技術基準」第58条(低圧の電路の絶縁性能)と「電気設備技術基準の解釈」第14条(低圧電路の絶縁性能)です。

これらの条文からの出題は珍しいので、条文を暗記している受験者は少ないと思います。そのため、選択肢を当てはめながら妥当かどうか検証するという方法で解説をします。

( ア )の選択肢には「一般送配電事業者等」と「電線路維持運用者」があります。ここで、a)の文中の( ア )の直前には「電線路を維持し、及び運用する者」とあるので、これに見合うのは「電線路維持運用者」と判断することができます。

( イ )の選択肢には「占有者」と「使用者」があります。ここでb)の文章を確認すると、「電気工作物が技術基準に適合していないときは、所有者又は( イ )に通知しなければならない」という旨が書かれています。

技術基準に適合しない電気工作物は改善しなければなりませんが、その責任は所有者や占有者にあります。使用者は適合した電気工作物(施設・設備・機械など)を使う立場なので、使用者自身にこれらを改善する責任は生じません。

よって、不適合が見つかったときに通知する相手は、改善する責任を有する所有者や占有者となるので、( イ )には「占有者」が入ります。

( ウ )には「措置」か「工事方法」が入ります。技術基準に適合しない電気工作物を改善する方法は工事の場合もありますが、それだけではありません。運用方法の変更だけで済む場合もあったり、検査が足りなかったなら追加の検査を行ったりします。

よって、改善の方法は様々なので、( ウ )には「工事方法」よりも広い意味合いを持つ「措置」を入れるのが適切だと考えることができます。

( エ )は知識問題となりますが、低圧屋内電路で絶縁抵抗測定ができない場合には、使用電圧が加わった状態における漏えい電流が1[mA]以下であれば絶縁性能の基準が満たされていると判断されます。

よって、( エ )には「1」が入りますが、これがわからなくても( ア )~( ウ )を正しく選べれば、選択肢は1つに絞られるので正解することができます。

以上から、( ア )は「電線路維持運用者」、( イ )は「占有者」、( ウ )は「措置」、( エ )は「1」となるので、正解は(4)です。

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