電験三種 R3年 機械 問15 問題と解説

 問 題     

定格容量が10kV・Aで、全負荷における銅損と鉄損の比が2:1の単相変圧器がある。力率1.0の全負荷における効率が97%であるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

ただし、定格容量とは出力側で見る値であり、鉄損と銅損以外の損失は全て無視するものとする。

(a) 全負荷における銅損は何[W]になるか、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 357
  2. 206
  3. 200
  4. 119
  5. 115

(b) 負荷の電圧と力率が一定のまま負荷を変化させた。このとき、変圧器の効率が最大となる負荷は全負荷の何[%]か、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 25.0
  2. 50.0
  3. 70.7
  4. 100
  5. 141

 

 

 

 

 

正解 (a)-(2), (b)-(3)

 解 説    

(a)

問題文より、定格容量が10[kV・A]で力率が1.0なので、出力Poutはそのまま10[kW]となります。よって、効率ηは問題文より97%なので、下式が成り立ちます。

  • η:効率
  • Pin:入力 [W]
  • Pout:出力 [W]

ここで、鉄損と銅損以外の損失は無視できるので、入力Pinから鉄損Pと銅損Pの両方を引いたものが、出力Poutと一致します。

また、全負荷における銅損Pと鉄損Pの比が2:1であることが問題文で与えられているので、これを式で表すと以下のようになります。

よって、(1)式と(3)式を(2)式に代入して銅損Pについて解けば、問われている銅損Pを計算することができます。

以上から、正解は(2)です。

(b)

変圧器の効率が最大となる負荷が問われていますが、最も効率が良くなるのは「鉄損=銅損」となるときです。これは式を使って証明することもできますが、結論だけを覚えておけば充分だと思うので、ここでは割愛します。

よって、変圧器の効率が最大となる条件では、鉄損Pと銅損P’の関係式は次のようになります。

上式において、鉄損P無負荷損ともいわれ、負荷電流が流れていてもいなくて関係なく生じる損失なので、ここでも設問(a)での全負荷のときと同じ値となります。つまり、(4)式で全負荷時の銅損が206[W]とわかっていて、鉄損は(3)式より銅損の半分なので、鉄損は次のように計算できます。

一方、銅損P’負荷損ともいわれ、負荷電流が流れているときだけ生じる損失です。これは負荷率αの2乗に比例します。今回の場合、無負荷なら0[W]、全負荷なら設問(a)の(4)式より206[W]となります。

求めたいのは負荷率αなので、(7)式に(4)式、(5)式、(6)式を代入してαについて解けば、答えを求めることができます。

以上から、正解は(3)となります。

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