電験三種 R1年 機械 問2 問題と解説

 問 題     

直流機の電機子反作用に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 直流発電機や直流電動機では、電機子巻線に電流を流すと、電機子電流によって電機子周辺に磁束が生じ、電機子電圧を誘導する磁束すなわち励磁磁束が、電機子電流の影響で変化する。これを電機子反作用という。
  2. 界磁電流による磁束のベクトルに対し、電機子電流による電機子反作用磁束のベクトルは、同じ向きとなるため、電動機として運転した場合に増磁作用、発電機として運転した場合に減磁作用となる。
  3. 直流機の界磁磁極片に補償巻線を設け、そこに電機子電流を流すことにより、電機子反作用を緩和できる。
  4. 直流機の界磁磁極のN極とS極の間に補極を設け、そこに設けたコイルに電機子電流を流すことにより、電機子反作用を緩和できる。
  5. ブラシの位置を適切に移動させることで、電機子反作用を緩和できる。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

(1)は正しいです。直流機の電機子巻線に電流が流れると、電機子電流によって周囲に磁束が発生します。この磁束は、もともと界磁電流によって生じていた界磁磁束に影響を与えますが、この現象を「電機子反作用」と呼びます。

(2)が誤りです。(2)の記述には「電動機として運転した場合に増磁作用、発電機として運転した場合に減磁作用」とありますが、実際には、電動機でも発電機でも減磁作用となります。

電動機であっても発電機であっても、電機子電流による磁束は界磁磁束と逆向きに働くため、界磁磁束を弱める減磁作用が起こります。電機子反作用という名前からして、常に界磁磁束を弱める方向に働くというイメージを持っておくとよいと思います。

(3)は正しいです。補償巻線とは、直流機の界磁極に巻かれた巻線で、電機子電流と反対方向に電流を流すことで、電機子反作用による磁束の影響を打ち消します。これにより、界磁磁束が安定し、電機子反作用を緩和することができます。

(4)も正しいです。補極は、電機子巻線の近くに設けられた磁極で、電機子反作用によって生じる磁束を打ち消すために用いられます。補極には、電機子電流に対応した電流が流され、これによって電機子反作用の影響を緩和します。

(5)も正しいです。ブラシの位置を適切に移動させることで、電機子電流が引き起こす磁束の影響を最小限に抑えることができ、電機子反作用が緩和されます。特に、負荷変動によって電機子電流が大きく変動する場合、ブラシの位置を調整することが有効です。

以上から、正解は(2)となります。

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