三相交流の波形と位相

この項では、三相交流回路における電源電圧の波形や位相、式の表し方などについて解説します。単相回路における波形や位相が基本となりますので、これらの理解について不安のある方は、正弦波交流の波形と平均値・実効値のページと正弦波交流の波形と位相のページを先に確認した上で、以下の解説をお読みください。

三相交流の電源側をY結線で表現すると、以下のように描くことができます。

このうち1つの電源の瞬時値をva[V]とすると、単相のときと同様に実効値V[V]を使って次のように表すことができます。

一方、上記のvaを基準にして考えると、vbは実効値の大きさが同じで、位相は2π/3[rad](120°)ほど遅れています。回路図において、反時計回り方向が進み、時計回り方向が遅れであり、進みは「+」、遅れは「-」で表します。今回のvbはvaから見ると2π/3[rad]だけ時計回りに廻したものと一致するので、その式は次のようになります。

残るvcは、vbに対してさらに2π/3[rad](120°)だけ遅れているので、その式は以下のように書くことができます。

ちなみに、vcがvbより120°遅れていると考えるのではなく、vaよりも120°進んでいると考えることもできます。その場合は上式ではなく下式の表現となりますが、どちらでも正しいです(位相は2πで1周するので同じことです)。

このように、三相交流の3つの電源の起電力は、いずれも大きさが同じで、位相が2π/3[rad](120°)ずつずれています。

また、ここではvaを基準(位相のずれが0)としましたが、実際にはvbを基準にしてもvcを基準にしても構いません。ちなみに、今回はY結線について紹介しましたが、これはΔ結線になっても全く同様です。1つの電源を基準とすると、ほかの電源も起電力の大きさは一緒で、位相が2π/3[rad](120°)ずつずれます。

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