問 題
次の文章は、「電気設備技術基準」における公害等の防止に関する記述の一部である。
- 発電用( ア )設備に関する技術基準を定める省令の公害の防止についての規定は、変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所に設置する電気設備又は電力保安通信設備に附属する電気設備について準用する。
- 中性点( イ )接地式電路に接続する変圧器を設置する箇所には、絶縁油の構外への流出及び地下への浸透を防止するための措置が施されていなければならない。
- 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律の規定により指定された急傾斜地崩壊危険区域内に施設する発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所の電気設備、電線路又は電力保安通信設備は、当該区域内の急傾斜地の崩壊( ウ )するおそれがないように施設しなければならない。
- ポリ塩化ビフェニルを含有する( エ )を使用する電気機械器具及び電線は、電路に施設してはならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ)
- 電気 直接 による損傷が発生 冷却材
- 火力 抵抗 を助長し又は誘発 絶縁油
- 電気 直接 を助長し又は誘発 冷却材
- 電気 抵抗 による損傷が発生 絶縁油
- 火力 直接 を助長し又は誘発 絶縁油
解 説
( ア )には「電気」か「火力」が入りますが、発電用電気設備にしてしまうと二重の意味になってしまい、このような言葉の使われ方はしません。もし発電用の施設という大きいくくりで表したいなら、単に「発電所」とするほうが自然です。よって、( ア )には「火力」を入れるのが適当です。
( イ )に関して、直接接地方式でも抵抗接地方式でも絶縁油が構外へ流出したら困るのは一緒なのですが、「電気設備技術基準」で防止措置を規定しているのは直接接地方式のほうだけなので、( イ )には「直接」が入ります。
なぜ一方しか規定されていないのかといえば、直接接地方式が用いられるのは187kV以上の超高圧の場合であり、一方の抵抗接地方式が用いられるのは33~154kV程度の高圧が対象となっているためです(ちなみに33kV以下の場合には非接地方式が多くなります)。
超高圧を扱うには、絶縁油の量も相当なものになるので、これが構外に流出することは大変な事故となるので、そうならないような措置が求められるということです。
( ウ )は結論からいえば、「を助長し又は誘発」が正しいです。
誤りの選択肢のほうを使うと、( ウ )の前後と合わせて「急傾斜地の崩壊による損傷が発生するおそれがないように~」という文章になりますが、これだと、急傾斜地は崩壊しても構わないけれど、設備の損傷は避けるように…という意味合いになってしまいます。
自分の設備以外の自然はどうなっても構わない、というのはさすがに問題があるので、これは不適当です。
一方、「を助長し又は誘発」を入れれば、急傾斜地の崩壊そのものを起こさないように…という意味になるので、こちらが正しいです。
( エ )のポリ塩化ビフェニルは、いわゆるPCBのことです。PCBは電気絶縁性が高く、耐熱性や耐薬品性に優れているという理想的な条件をもつ油状物質であり、変圧器やコンデンサなど電気機器の絶縁油によく使われていました。
しかし、物理化学的な条件が素晴らしい一方で、生体への毒性が高い(発がん性など)ため、現在ではPCBを使った機器の製造は禁止されています。よって、( エ )には「絶縁油」が入ります。
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