問 題
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく電路に係る部分に接地工事を施す場合の、接地点に関する記述である。
- 電路の保護装置の確実な動作の確保、異常電圧の抑制又は対地電圧の低下を図るために必要な場合は、次の各号に掲げる場所に接地を施すことができる。
- 電路の中性点(( ア )電圧が300V以下の電路において中性点に接地を施し難いときは、電路の一端子)
- 特別高圧の( イ )電路
- 燃料電池の電路又はこれに接続する( イ )電路
- 高圧電路又は特別高圧電路と低圧電路とを結合する変圧器には、次の各号によりB種接地工事を施すこと。
- 低圧側の中性点
- 低圧電路の( ア )電圧が300V以下の場合において、接地工事を低圧側の中性点に施し難いときは、低圧側の1端子
- 高圧計器用変成器の2次側電路には、( ウ )接地工事を施すこと。
- 電子機器に接続する( ア )電圧が( エ )V以下の電路、その他機能上必要な場所において、電路に接地を施すことにより、感電、火災その他の危険を生じることのない場合には、電路に接地を施すことができる。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ)
- 使用 直流 A種 300
- 対地 交流 A種 150
- 使用 直流 D種 150
- 対地 交流 D種 300
- 使用 交流 A種 150
解 説
aの文章は「電気設備技術基準の解釈」第19条(保安上又は機能上必要な場合における電路の接地)1項からの引用です。この条文は以下の通りです。
電路の保護装置の確実な動作の確保、異常電圧の抑制又は対地電圧の低下を図るために必要な場合は、本条以外の解釈の規定による場合のほか、次の各号に掲げる場所に接地を施すことができる。
- 電路の中性点(使用電圧が300V以下の電路において中性点に接地を施し難いときは、電路の一端子)
- 特別高圧の直流電路
- 燃料電池の電路又はこれに接続する直流電路
よって、( ア )には「使用」が、( イ )には「直流」が入ります。
bの文章は「電気設備技術基準の解釈」第24条(高圧又は特別高圧と低圧との混触による危険防止施設)1項からの引用です。この条文は以下の通りです(一部改変)。
高圧電路又は特別高圧電路と低圧電路とを結合する変圧器には、次のいずれかの箇所にB種接地工事を施すこと。
- 低圧側の中性点
- 低圧電路の使用電圧が300V以下の場合において、接地工事を低圧側の中性点に施し難いときは、低圧側の1端子
- 低圧電路が非接地である場合においては、高圧巻線又は特別高圧巻線と低圧巻線との間に設けた金属製の混触防止板
cの文章は「電気設備技術基準の解釈」第28条(計器用変成器の2次側電路の接地)からの引用です。この条文は以下の通りです。
高圧計器用変成器の2次側電路には、D種接地工事を施すこと。
特別高圧計器用変成器の2次側電路には、A種接地工事を施すこと。
よって、( ウ )には「D種」が入ります。
ここで、A種とD種の違いを確認しておきます(重要事項なので押さえておいてください)。
A種接地工事とは、高圧や特別高圧のような高い電圧で使用する電気機器に対して行う接地工事です。
D種接地工事は、300V以下の低圧の電路に接続される電気機器に対して行う接地工事です。
…ということは、上記の場合は高圧でも特別高圧でも「A種」が正解じゃないか、と思ってしまいますが、条文は上記の通りで間違いありません。
これについて、「電気設備の技術基準の解釈の解説」という経産省から公開されている公式解説書によると、「高圧の場合をD種接地工事としているのは、計器用変成器の2次側電路は一般に配電盤のように操作員以外の人が立ち入らない場所に施設されるためである。」と説明されています。
ちょっと引っ掛け問題のような節がありますが、以上から、( ウ )は「D種」ということになります。
最後に、dの文章は「電気設備技術基準の解釈」第19条(保安上又は機能上必要な場合における電路の接地)6項からの引用です。この条文は以下の通りです。
電子機器に接続する使用電圧が150V以下の電路、その他機能上必要な場所において、電路に接地を施すことにより、感電、火災その他の危険を生じることのない場合には、電路に接地を施すことができる。
よって、( エ )には「150」が入ります。
ちなみに、ここでも( ア )がありますが、「電子機器に接続する( ア )電圧が~」に「対地」を入れるのはおかしいことに気づけば、aの文章のときに迷った場合でも、この時点で( ア )は「使用」であると決めることができると思います。
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