問 題
送電線路に用いられる導体に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 導体の特性として、一般に導電率は高く引張強さが大きいこと、質量及び線熱膨張率が小さいこと、加工性及び耐食性に優れていることなどが求められる。
- 導体には、一般に銅やアルミニウム又はそれらの合金が用いられ、それらの導体の導電率は、温度や不純物成分、加工条件、熱処理条件などによって異なり、標準軟銅の導電率を100%として比較した百分率で表される。
- 地中ケーブルの銅導体には、一般に軟銅が用いられ、硬銅と比べて引張強さは小さいが、伸びや可とう性に優れ、導電率が高い。
- 鋼心アルミより線は、中心に亜鉛めっき鋼より線、その周囲に軟アルミ線をより合わせた電線であり、アルミの軽量かつ高い導電性と、鋼の強い引張強さとをもつ代表的な架空送電線である。
- 純アルミニウムは、純銅と比較して導電率が2/3程度、比重が1/3程度であるため、電気抵抗と長さが同じ電線の場合、アルミニウム線の質量は銅線のおよそ半分である。
正解 (4)
解 説
(4)について、鋼心アルミより線は、中心に鋼より線があり、その周囲に硬アルミ線をより合わせたような構造をしています。よって、「軟アルミ線」が誤りで、正しくは「硬アルミ線」です。
後半の文章「アルミの軽量かつ高い導電性と、鋼の強い引張強さとをもつ代表的な架空送電線」は正しく、これは重要な特徴なので、併せて押さえておいてください。
(2)について、基準である銅(軟銅)を100%とすると、ほかの金属の導電率は以下のようになります。
- 銀:106%
- 銅:100%(基準)
- 金:72%
- アルミニウム:61%
- 鉄:17%
これらの数字を詳しく覚える必要はありませんが、序列と、アルミニウムが銅の6割くらい、ということは知っておくと良いかもしれません。
(5)について、アルミニウムは銅に比べて2/3くらいしか電気を通さないということなので、同じ電気抵抗の電線にしたい場合は、銅のときの3/2倍の量を使う必要があります。
量をそれだけ使っても、比重が1/3程度なので、そのときの質量比は、
となるので、アルミニウムの質量は銅の質量の半分くらいです。
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