電験三種 H28年 電力 問12 問題と解説

 問 題     

次の文章は、低圧配電系統の構成に関する記述である。

放射状方式は、( ア )ごとに低圧幹線を引き出す方式で、構成が簡単で保守が容易なことから我が国では最も多く用いられている。

バンキング方式は、同一の特別高圧又は高圧幹線に接続されている2台以上の配電用変圧器の二次側を低圧幹線で並列に接続する方式で、低圧幹線の( イ )、電力損失を減少でき、需要の増加に対し融通性がある。

しかし、低圧側に事故が生じ、1台の変圧器が使用できなくなった場合、他の変圧器が過負荷となりヒューズが次々と切れ広範囲に停電を引き起こす( ウ )という現象を起こす可能性がある。

この現象を防止するためには、連系箇所に設ける区分ヒューズの動作時間が変圧器一次側に設けられる高圧カットアウトヒューズの動作時間より( エ )なるよう保護協調をとる必要がある。

低圧ネットワーク方式は、複数の特別高圧又は高圧幹線から、ネットワーク変圧器及びネットワークプロテクタを通じて低圧幹線に供給する方式である。特別高圧又は高圧幹線側が1回線停電しても、低圧の需要家側に無停電で供給できる信頼度の高い方式であり、大都市中心部で実用化されている。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

    (ア)       (イ)        (ウ)     (エ)

  1. 配電用変電所  電圧降下     ブラックアウト   長く
  2. 配電用変電所  フェランチ効果  ブラックアウト   長く
  3. 配電用変圧器  電圧降下     カスケーディング  短く
  4. 配電用変圧器  フェランチ効果  カスケーディング  長く
  5. 配電用変圧器  フェランチ効果  ブラックアウト   短く

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

放射状方式は、配電用変圧器ごとに低圧幹線を引き出し、その幹線を軸として、そこから枝分かれ(分岐線)を延ばす配電方式です。仕組みが簡単なので建設費が安く、必要に応じて後から分岐線を増設することも容易です。よって、( ア )には「配電用変圧器」が入ります。

バンキング方式は、下図の上側(一次側)の高圧配電線と下側(二次側)の低圧配電線とを、複数の変圧器で接続するという配電方式です。

この方式は電圧降下や電力損失が少ないのがメリットですが、カスケーディングを起こし得るのがデメリットです。

カスケーディングとは、何かの原因で高圧ヒューズが溶断したり低圧配電線に短絡電流が流れたりした際、ほかの区分の変圧器にまで短絡電流が流れて、広い範囲で次々に停電を起こしてしまうことです。

このカスケーディングを防ぐため、各区間の間に区分ヒューズを設けて保護します。

すぐに区分ヒューズが動作して横のつながりを断たなくてはいけないので、この動作時間は高圧カットアウトヒューズの動作時間より短くなければなりません。

よって、( イ )には「電圧降下」が、( ウ )には「カスケーディング」、( エ )には「短く」が入ります。

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