電験三種 H27年 理論 問13 問題と解説

 問 題     

バイポーラトランジスタを用いた電力増幅回路に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. コレクタ損失とは、コレクタ電流とコレクタ・ベース間電圧との積である。
  2. コレクタ損失が大きいと、発熱のためトランジスタが破壊されることがある。
  3. A級電力増幅回路の電源効率は、50%以下である。
  4. B級電力増幅回路では、無信号時にコレクタ電流が流れず、電力の無駄を少なくすることができる。
  5. C級電力増幅回路は、高周波の電力増幅に使用される。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

バイポーラパワートランジスタは、回路図の中で次の記号によって表されます。

上図のように、コレクタ、エミッタ、ベースから構成されます。その構造は、npn(pはp形半導体、nはn形半導体)の3層またはpnpの3層で構成され、いずれの場合も、最初の層がコレクタ、2段目の層がベース、3段目の層がエミッタになります。

仕組みとしては、ベースに小さな電流が流れ込むと、コレクタ-エミッタ間に大きな電流(コレクタ電流)が流れることになります。同様に考えて、ベース電流が少しでも変化すると、コレクタ電流では大きな変化となって現れます。このようにして、電流の増幅やオン・オフ制御を行っています。

よって、コレクタ電流が関わってくるのは「コレクタ-ベース間電圧」ではなく、「コレクタ-エミッタ間電圧」となるので、コレクタ損失とは、コレクタ電流とコレクタ-エミッタ間電圧との積のことです。

つまり、(1)の「ベース」が誤りで、正しくは「エミッタ」となります。

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