電験三種 H25年 電力 問5 問題と解説

 問 題     

次の文章は、太陽光発電に関する記述である。

現在広く用いらている太陽電池の変換効率は太陽電池の種類により異なるが、およそ( ア )[%]である。太陽光発電を導入する際には、その地域の年間( イ )を予想することが必要である。また、太陽電池を設置する( ウ )や傾斜によって( イ )が変わるので、これらを確認する必要がある。

さらに、太陽電池で発電した直流電力を交流電力に変換するためには、電気事業者の配電線に連系して悪影響を及ぼさないための保護装置などを内蔵した( エ )が必要である。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして最も適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

   (ア)    (イ)    (ウ)    (エ)

  1. 7~20   平均気温   影   コンバータ
  2. 7~20   発電電力量  方位  パワーコンディショナ
  3. 20~30  発電電力量  強度  インバータ
  4. 15~40  平均気温   面積  インバータ
  5. 30~40  日照時間   方位  パワーコンディショナ

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

( ア )について、太陽光発電の効率は低めで、現在のところは10~20%程度のものが普及しています。選択肢では、(1)と(2)の7~20%がそれに近いので、このどちらかが正解です。

( イ )と( ウ )は問題文の3行目で考えるとわかりやすいかもしれません(2行目の空欄は気にしないでおきます)。「太陽電池を設置する傾斜によって( イ )が変わる」とありますが、選択肢(1)の平均気温は変わりません。太陽光パネルの「温度」ならまだしも、「気温」というのはあくまで大気中の温度のことを指すからです。

よって、( ア )で選択肢が(1)と(2)に絞れていますので、正解は(2)ということがわかります。

仮に( ア )がわからない場合、ここでは「平均気温」が間違いなので、選択肢(1)と(4)を削れます。残る(2)、(3)、(5)のうち、(3)だと「強度によって発電電力量が変わる」となるので、これは間違いです。

強度が強いと風や雨による装置の故障が少なくなるので望ましいですが、発電量に影響はありません。発電電力量は陽の当たり方や時間の長さなどには依存します。

また、(2)だと「方位によって発電電力量が変わる」となり、これは自然な文章になります。一方、(5)だと「方位によって日照時間が変わる」となり、これも悪くないように思えます。

よって、(2)か(5)かを決定づけるのは( ア )次第となるので、( ア )が「7~20%」と知らない場合、「30~40%」では火力発電や原子力発電の同じような効率なので効率が良すぎる…と判断できないと、正解を導くのが難しいかもしれません。

最後に( エ )を考えます。正解は上記の通り選択肢(2)なので、「パワーコンディショナ」となります。

まず、(3)と(4)にある「インバータ」とは、直流を交流に変換する装置のことです。太陽光発電で得られる電力は直流ですが、一般家庭などでは交流が使われるため、このような変換器が必要になります。「インバータ」の反対に、交流を直流に変換する装置が(1)の「コンバータ」になります。

また、(2)と(5)の「パワーコンディショナ」とは、「インバータ」と問題文にある「保護装置(系統連系保護装置)」、さらに、「絶縁変圧器」の3つを合わせたものを指します。

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